建設業者の生き残り・勝ち残り策
 

  ■公共工事の減少

   公共工事は1999年度以降、一貫して減少傾向にあり、9年間で半分以下の水準
   にまで減少した。

   2008年度以降は景気刺激先としての予算追加等によりわずかに増加に転じまし
   たが、今後も大幅な回復は見込みにくい状況です。

   一般的に、地方の建設業者は公共工事依存度が高く、公共工事の減少は経営
   基盤を揺るがす大問題です。

   それに加えて、知名度のあるゼネコンとの競合になれば、受注を確保するため価
   格競争になり、ますます経営を悪化させるという悪循環に陥りかねない。

   しかし、社会資本を整備する役割を担う建設業者は、こうした難局を乗り越え、大
   きく成長することが求められます。
 
  □建設業者の生き残り・勝ち残るための視点

   前述したような厳しい環境下で、今後、建設業者が成長していくためには、以下の
   ような視点で経営を再検討することが必要でしょう。

    1.地域に密着した営業展開を強化すること

    2.他社より優れた特殊技術をもつこと

    3.正確な情報の収集で利益管理や営業管理を適切に行うこと

    4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経営に努力すること

    5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処すること

   以下に、それぞれの視点についてポイントをあげていきます。

   1.地域密着の営業展開を強化

     地元業者では、地域密着型の営業が特に重要です。

       顧客の細かい要望に対し、柔軟な設計変更で応じるなど
       大手ゼネコンやハウスメーカーなどではできないことに丁寧に
       対応する

     ことが大切です。

     また、ちょっとしたクレームや質問に対してすぐ顧客の元に出向き対応すること
     や、施工現場を美しくすること、多様な商品の品揃えをすることなどでも、地元 
     顧客に地域密着のイメージをもってもらうことができます。

     このように、顧客に誠実な体制を整えることが、企業イメージをアップさせ、口
     コミで顧客を広げる有効な手段となるのです。

     地域密着型の営業を実践している建設会社のなかには、徹底した地域密着を
     実現するため、施工エリアを本社所在地から50キロメートル圏内に限定して
     いるところもある。

     その大きな理由として、クレームにスピード対応するためということがあげられ
     ます。

     50キロメートル程度だと、電話を受けてから1〜2時間ほどで駆け付けること
     が可能だからです。

     また、具体的に施工を始めた現場をモデルルーム・ショールームなどの営業
     拠点としているところもあります。

     そうした場合には、現場で目に触れやすい仮囲いやシート、看板は、周囲への
     影響を考えて、統一した美しいデザイン・マークを使用します。

     現場監督や職人にもマナー整理整頓の遵守を厳しく徹底します。

     現場の職人は、近所の住民に丁寧な応対をする、ゴミやたばこの吸い殻を持
     ち帰るなど、工事の騒音などで近所の住民に迷惑をかけて申し訳ないという
     気持ちを行動で示すようにします。

     こうした態度を取ることにより、工事現場の近所の住民からの評判もよくなりま
     す。

     工事現場の様子を見ていた近所の住民から信頼されて、工事を受注するとい
     うケースもあります。

   2.他社より優れた特殊技能をもつ

     技術力が他社と比較して高ければ、

       自社のウリを「技術力」として技能特化型企業となる

     ことが可能でしょう。

     さらに、技能者不足の現状や受注の効率化を考えると、生産性を高めることも
     重要な特殊技術といえる。

     具体的には、マニュアルを作成するなど、合理化手法を開発することで、熟練 
     した職人以外でも高度な製品を作ることが可能になるでしょう。

     こうしたことにより職人不足への対応だけでなく、コストダウンも可能になる。

     また、社員などからユニークなアイデアを募集し、それを思い切って採用する
     などの姿勢も必要です。

   3.正確な情報収集で利益管理や営業管理を適切に行う

     正確な情報を得るためには、現場の営業担当者に、

       報告書の提出を定着させることが必要です。

     特に営業活動においては、こうした報告によって営業担当者と上司が顧客に
     関する情報を共有することが可能なため、上司が営業担当者の悩みや営業
     方法について適切な指示を与えることができます。

     また、工事現場において、使用した資材や人員数、工事の進捗状況などの実
     績を毎日データベースに入力し、情報共有を図ります。

     この各現場の実績に、当初の予算をつねに対比させることで、より緻密な利益
     管理が可能になります。

     さらに、各現場の最終費用実績を参考にすると、別の工事の必要経費が予想
     できるようになり、受注金額を決定する際に役立てることもできます。

   4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経営を強化

     効率的な経営を行うためには、職人などの人件費の適切な管理が不可欠で
     す。

       徹底した作業の標準化や資材の集中処理、営業体制の見直しなどで、
       効率的に職人を使うことにより、人件費を削減する

     ことが可能です。

     効率化のためには、まず徹底して部門内の作業を分解することが必要です。

     さらに、コストダウンのために、設計図から施工部材、施工動作、スケジュール
     管理、予算管理、施工道具まで分解し、経費削減の可能性を分析します。

     人件費の削減に当たっては、分解した作業ごとに要した時間を調査し、作業
     者にも納得してもらえる標準作業時間を設定することにより、適正な人件費を
     把握するようにします。

     給排水、電気、内装など、専門の職人による施工が必要な場合もありますが、
     単純で、施工道具も完備され、完全にマニュアル化されている工程は、アルバ
     イトを利用することも可能となる。

     作業時間が減少すると、貸金が減少する恐れがあるとしてマニュアル化に反
     対する職人がいても、標準作業時間を守ることでこれまで以上の数の現場に
     従事することができるなど、逆に貸金が増加するケースもあることなどを説明
     し、理解を求めましょう。

     そのほか、インターネットを活用すれば、FAXや宅配便などよりも安く迅速に、
     設計図面に関しての修正や確認などの情報を送達できます。

     最新である必要はありませんが、情報設備は積極的に導入を検討するように
     します。

   5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処

     多角化については、

       自社の技術をいかせる関連部門への多角化が中心になります。

     もっとも多いのは、個人住宅分野への多角化です。

     個人住宅分野も大手ハウスメーカーなどが全国を営業エリアとしています。

     そのため、輸入住宅・省エネルギー住宅といった特徴ある住宅に特化するな
     ど、他社との差別化を図る必要がある。

     そのほか、建設廃棄物のリサイクル、現場ごとの利益管理システム作成など、
     従来、建設業者が課題として捉えている分野に注力し、多角化を図っている事
     例もあります。

     厳しい環境だからこそ、体に汗をかくだけではなく、頭に汗をかき、知恵を絞り
     だすことが重要なのです。

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