建設現場の安全管理
 

  ■安全管理の徹底に足並みが揃いにくい建設現場

   建設業は労働災害が多く発生する業種です。

   重たい資材を運搬したり、高所や地中での作業が多かったりと建設現場で行われる
   作業の多くは危険を伴うものです。

   建設事業者は安全管理を徹底し、労働災害を未然に防止しなければなりません。

   しかし、建設現場の作業内容は作業の進行とともに短期間のうちに変わっていきます。

   また、建設現場には、元請け・下請けなどといった異なる階層の事業者、土木
   工事・建築工事などといった異なる業種の事業者が集まって作業をしています。

   このような事情から、建設現場の安全管理は足並みがそろいにくいのが現状です。

   多くの企業は労働災害の防止に取り組んでいます。

   特に、建設業など労働災害が多く発生する業種の場合、企業は安全管理を徹底し、

   労働災害の未然防止に努めなければなりません。

   一方、建設業の仕事現場は、特殊な環境にあります。

   建設現場の作業内容は作業の進行とともに変わっていきます。

   また、元請け・下請けなどの異なる階層の事業者、土木工事・建築工事などの異なる

   工事業者が集まって作業をしています。

   こうした事情から、建設現場の安全管理は足並みがそろいにくいのが現状です。

   ここでは、建設業における労働災害の発生状況に関するデータを紹介するとともに、

   法令に基づく安全衛生管理体制の整備の内容、建設現場で実施される安全管理の
   内容などについて紹介していきます。

  □建設業における労働災害の発生状況 

   1.労働災害の発生状況

     厚生労働省「労働災害発生状況」による建設業の死傷災害発生状況
     (死亡災害および休業4日以上の死傷災害)

   2.墜落・転落の事例

     労働災害は、設備の点検不足やちょっとした気の緩みから発生することがあり
     ます。

     厚生労働省「職場のあんぜんサイト」公表資料(建設業における墜落・転落の
     事例)

     日ごろから作業場内で危険な場所が無いかを点検する担当者を決めていた
     り、余裕のある工期を確保すれば、こうした事例は防げたかもしれません。

     このような基本的な安全管理の体制については、労働安全衛生法(以下「安
     衛法」)とその関係法令で定められています。

     建設事業者が労働災害を防止するための第一歩は、安衛法などに定められ
     た安全衛生管理体制を構築することだといえるでしょう。

  □建設現場の安全衛生管理体制

   1.建設現場における安全衛生管理体制
     安衛法の目的は、労働災害の防止のための危害防止基準の確立や責任体
     制の明確化など総合的計画的な対策を推進することにより、職場における労
     働者の安全と健康を確保するとともに快適な職場環境の形成を促進すること
     です。

     建設事業者は安衛法に基づく安全衛生管理体制を構築しなければなりません
     が、それは建設事業者のオフィス(本社など)と建設現場で異なります。

     ここでは、一定規模以上の建設現場の安全衛生管理体制を紹介します。

     以降で紹介する建設現場の安全衛生管理体制においては、元請けは「特定
     元方事業者」または「元方事業者」と表記します。

     特定元方事業者とは、元方事業者のうち、特定事業(建設業および造船業)を
     行う事業者です。

     また、下請けは「関係請負人」と表記する。

     建設現場における安全衛生管理体制は次の通りです。

     なお、常時従事する作業員の規模などによって異なるが、ここでは労働安全
     衛生法施行令第7条第2項で定める次の場合について紹介します。

     (1)ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等
       により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生
       労働省令で定める場所において行われるものに限る)または圧気工法
       による作業を行う仕事:常時30人

     (2)上記1.の仕事以外の仕事:常時50人

       図は、一定規模以上の建設現場の安全衛生管理体制を簡単にまとめたもの
       です。

       詳細については所轄の労働基準監督署もしくは建設業労働災害防止協会  
       (通
称「建災防」)に問い合わせることをお勧めします。

       なお、特定元方事業者は、統括安全衛生責任者や元方安全衛生管理者の選
       任などの他、特定元方事業者および全ての関係請負人が参加する協議組織
       を設置・運営するなど、労働災害の防止に必要な措置を講じなければならな
     い。

   2.建設業の総合的労働災害防止対策についての通達

     建設現場において元方事業者や関係請負人が実施する安全衛生管理の詳
     細は、「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」で示され
     ているため、一度、確認することをお勧めします。

     また、建設業における労働災害の多くは墜落・転落によるものです。

     これらの労働災害の防止を図るため、2009年6月1日より労働安全衛生規則
     が改正され、墜落防止措置の強化が図られました。

     これにより、建設現場では足場の種類によって墜落防止措置を講じることや作
     業開始前に足場に関わる墜落防止設備の取り外しの有無等の点検をするこ
     となどが義務付けられました。

      厚生労働省「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について

      厚生労働省「労働安全衛生規則(足場等関係)が改正されました

  □建設現場の安全管理

   1.安全管理の手法

     労働災害を未然に防止するためには、建設事業者は安衛法などに基づく措置
     を確実に講じつつ、個々の現場の実情に応じた安全管理を行うことが重要で
     す。

     以降では、建設現場において、労働災害を未然に防止するための手法とし
     て、「5S」「KY」「TBM」を紹介します。

   2.整理整頓:5S

     建設作業ではさまざまな設備・機械・工具を使います。

     また、建設現場では多くの作業員が仕事をしています。

     建設現場を散らかったままにしておくと、工具を探すのに時間がかかって作業
     効率が低下します。

     また、設備・機械・工具などが散らかっているために作業場の床の大きな穴や
     段差が見えなければ、転落や転倒といった労働災害につながりかねません。

     建設現場では、日ごろから整理整頓をしておくことが重要であり、そのための
     手法に「5S」があります。

     5Sの定義は次の通りです。

     5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つの項目の頭文字を
     とったもので、整理からしつけまでを組織的・継続的に実施していくという手法
     です。

     主に製造業で用いられる整理整頓の手法ですが、建設現場でも応用すること
     ができます。

     「整理・整頓・清掃・清潔」を徹底し、建設現場を「4S」の状態にしておくことを
     習慣付けるように、作業員全員に「しつけ」を行います。

     4Sの状態にしておくことを建設現場のルールとしても、ただルールを決めて壁
     に張り出しておくだけでは、建設現場が常に4Sの状態になることはありませ
     ん。

     作業員一人ひとりにとって4Sの状態が当たり前になるまで、作業前と作業後
     に必ず整理・整頓するように指導を徹底します。

   3.危険予知:KY

     建設現場では、日ごろから、作業の中に潜んでいる危険をいち早く予知し、回
     避・改善に努めることが大切です。

     この「危険予知」の頭文字をとったものを「KY」と呼びます。

      また、危険を予知するには、そのための訓練が必要で、それを危険予知訓練
     (危険予知トレーニング=KYT)と呼びます。

     危険予知訓練は、作業状況のイラストや実際の作業を見せたりしながら、そこ
     に潜む危険とそれによって起こり得る事故などについて話し合うことです。

     例えば、建設現場で仕事をする作業員が、自分が高所で作業する際にどのよ
     うな安全対策を行っているかを他の作業員に説明するなどして、その作業の
     危険な点などを話し合います。

     こうした危険予知訓練を実施して、建設現場で仕事をする作業員一人一人が
     日ごろの仕事の中に潜む危険を予知する能力を高めることで、労働災害につ
     ながるヒューマンエラー(人的過誤)の防止になります。

     その他、作業員に対して中央労働災害防止協会(通称「中災防」)などが行っ
     ているKY関連のセミナーや勉強会に参加させ、そこで行われた訓練をその作
     業員が他の作業員に教えるといった方法で危険予知訓練を行ってもよいで
     しょう。

   4.意識継続

     建設現場で作業開始前に作業内容や安全目標を確認するために行うミーティ
     ングは、工具箱(ツールボックス)に腰をかけて行うことも多いため、「ツール
     ボックスミーティング(TBM)」と呼ばれています。

     5SやKY(危険予知)を行っていても、日々作業を進めるうちに、安全への意識
     は薄れていってしまいます。

     そこで、毎日、仕事を開始する前にTBMを行って、その日の「作業内容」「安全
     のために特に気をつけなければならない作業の内容」「安全目標」などを作業
     員全員で確認し、その日1日、安全への高い意識を持って仕事に取り組むこと
     ができるようにします。

     TBMは、作業員の安全への意識を継続させるというだけではありません。

     毎日、仕事の前に互いに顔を見せ言葉を交わすことで、コミュニケーションを
     図り連帯感を高めることにつながります。

     作業員同士が互いに困った点を相談し、改善すべき点を指摘し合うことで、労
     働災害を未然に防止する効果が期待できます。

   5.労働災害発生時の備えとしての法定補償(政府労災)と法定外補償(労災)

     労働災害を完全に防止することはできません。

     そこで、建設事業者は万一の備えとして、いわゆる「法定の労災保険」に加入
     することが不可欠です。

     これは労働者災害補償保険法で定められている政府管掌の労働保険で、1人
     でも作業員を雇用している建設事業者は必ず加入しなければなりません。

     また、一人親方であっても特別加入することができます。

     この他、民間の保険会社が行っている、いわゆる「法定外補償」に加入する建
     設事業者もあります。

  □建設現場の安全衛生管理状況チェックリスト

   これまで紹介してきた建設現場の安全衛生管理体制や、労働災害を未然に防止する
   ための手法などを踏まえた、建設現場における安全衛生管理状況チェックリスト
   紹介します。

   こうしたチェックリストを日々活用することによって建設現場の安全管理が徹底され、
   労働災害を未然に防ぐことができるでしょう。

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