生命保険におけるセールスプロセスの標準化
 

  ■セールスプロセスの標準化

   1.標準化の経緯

     セールスプロセスとは、お客様との面談をアプローチ・ヒアリング・プレゼン
     テーション・クロージングなどのステップごとに分類し、その段階に沿って面談
     を進めていくことです。

     損害保険の契約更改業務は1回完結型であるのに対し、生命保険の面談は
     複数回訪問したり、成約まで数カ月にわたることも多く、自動車保険のように
     期限までに必ず入らなければならないというものでないため、仕掛かり中の顧
     客管理が大きな課題になっていました。

     また、契約にこだわるあまり1回の面談で成約に結びづけようと、強引なアプ
     ローチをしてしまい、お客さまから拒否反応を示され、それを何とかしようと応
     酬話法を繰り返すことで、お客さまとの関係が悪化し生命保険の話がますま
     すしづらくなり、最終的に行く先が枯渇してしまい、引いては損保契約にまでひ
     びくという結果になってしまいます。

     そこで、お客様に話を聞いてもらうにはどうしたらよいのか原点に戻って考え
     たとき、コミュニケーションの基本は人間関係であり、まずはお客様との関係
     強化活動から始める流れで営業活動をしていくことが大切であるとの結論付
     けられる。

     この考え方を形にしたのが「セールスプロセスの標準化」ということです。

     この手法であれば、自動車保険の更改時に代理店や自分を知ってもらうこと
     からスタートするので損保の代理店にも無理なくできると考えたわけです。

     つまり、売込ではなく人間関係作りから始めることが、セールスパーソンが最
     初にやるべき仕事だという結果になりました。

   2.セールスプロセス標準化の全体像

     (1)お客様との関係強化活動

       生命保険の加入を検討していただくためには「ニーズ喚起」が必要です。

       しかし、その前にセールスパーソンについて、「この人は生命保険について 
       相談できる人だ」と認知してもらう必要があります。

       そこでまず『お客様との関係強化活動』では、定期的に売込みがなく専門
       性のある情報提供を行うことで信頼感の醸成を図ります。

     (2)販売活動

       『販売活動』では、情報提供した中で、興味や関心がある方だけを「商談」
       に導きます。

       商談の場面は、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージング
       と、お客様の購買の段階に合わせて、ステップを重ねていきます。

       ◎標準化されたセールスプロセスの各ステップの定義
        ファーストアプローチ(情報提供) ⇒ お客様に対し、生命保険を
        取り扱っていることを告知し、あわせて情報提供を行う。

        アプローチ ⇒ ファーストアプローチ(声掛け)で生命保険に興味、
        関心を持ったお客様に対し、ニーズ喚起を行う。

        ヒアリング ⇒ ニーズが顕在化したお客様に対し、保険設計書に
        必要な基本情報を確認するとともにお客様の現状と望ましい状態
        との差(リスク)を明確にする。

        プレゼンテーション ⇒ ヒアリングを通じて明確になったお客様の
        抱えるリスクに対し、具体的な解決策としての保険商品を提示する。

         クロージング ⇒ お客様の意向を確認し、購買の決断を促す。

        契約手続き ⇒ 正確・スピーディーに手続きを行い、契約を早期に
        成立させる。

  □お客様との関係強化活動

   1.何故お客様との関係強化活動なのか?

     クロスセル(多種目販売)、損保の顧客に対しての生命保険販売ということで
     すが、実際にお客様に対して生命保険の話を切出した途端、「生命保険はもう
     たくさん入っている」とか「嫌な顔をされる」といったことを経験されたことで、
     生命保険は苦手という方も多いのではないでしょうか?

     損害保険でのお付合いは長年あるのにもかかわらず、何故このような反応が
     返ってくるのかを考えてみると、損害保険の人間関係と生命保険での人間関
     係は別なのではないかと考えられます。

     何故ならば、悩み事で相談事がある場合であれば、多くの方は家族や友人な
     どに話をすることでしょう。

     言い換えると、信頼できる人に話をするということです。

     そこで、生命保険の話をするにあたっても同じように、まずはお客様との関係
     強化を図り信頼関係を作っておけば、生命保険の話をしても特に嫌がられるこ
     とも少ないと考えるわけです。

     人間関係を作ってから話をするという方法は一見遠回りに見えますが、人間
     関係ができていないうちに生命保険の話をすると、どうしても売込まれるので
     はと誤解が生じることも多く、関係性を悪化させてしまう結果になります。

     しかし、信頼関係がある人の話しであれば、契約するかどうかは別として、話
     しだけなら聞いてもらいやすいし、お客様の方も断りやすいので気軽に聞いて
     もらえる可能性が高くなります。

     そこで信頼性に加えて、ポイントとなるのが専門性です。

     この人は生命保険に詳しい人なんだということをお客様が感じているなら、そ
     の後の展開は非常に楽になると考えられます。

     例えば、お客様が保険について考えるタイミングが来たとき、信頼関係があり
     生命保険についても詳しいとわかっていれば、多くの方が相談に来ると考えま
     す。
     つまり、お客様が生命保険に興味や関心がある状態で話ができるので、営業
     としても臆することなく生命保険の話ができ、お客様も真剣に話を聞くことにな
     る。

     こうすることができれば、お客様の口コミによる紹介にも繋がると考えられま
     す。

   2.信頼関係を築くためには

     仕事で一番大事なこと、それは信頼関係です。

     相手がセールスパーソンを信頼していなければ、今後の成功はほとんどない
     といっていいでしょう。

     ビジネスでは、セールスパーソンの学歴、生い立ち、性格がどうかというより
     も、セールスパーソンという人が信頼に値する人物かどうかが、相手にとって
     最大の関心事といえるのです。

     そのためには、常日ごろから、ありとあらゆる言動や態度が信頼を築くもので
     なければなりません。

     信頼の根拠を追求していくと、その本質はセールスパーソンの姿勢にたどり着
     くのです。

     姿勢とは、誠実さに裏打ちされた仕事への意欲といえます。

     代理店であれば、代理店として保険の仕事にどのように取り組んでいるの
     か?

     また、夢や理想はどういうものなのかといった、ビジョンといわれるものです。

     個人であっても同じで、どのような想いでこの仕事をしているのかといった、価
     値観や考え方を伝えることで、お客様が共感できるようなメッセージであれば
     信頼関係ができてきます。

     皆、夢や理想を持って一生懸命頑張っている人のことが好きですし、共感を覚
     えるものです。

   3.情報提供による専門性の認知

     生命保険でもプロとして認知してもらうためには、メッセージとあわせて専門的
     な情報提供をすることが必要です。

     では、具体的にはどのような情報を提供すればいいのでしょうか。

     情報提供は、

      (1)相手の知らない話

      (2)保険に関連する周辺知識

     で組み立てます。

     「相手の知らない話」とは、厳密に言えば「何となく知っているし、興味はあるけ
     れども詳しくは知らない話」が適しているでしょう。

     内容は、「生命保険に関連する周辺知識」です。

     雑学もたしかに重要ですが、生命保険につながらなければ、お客様に「生命保
     険でもプロ」としては認知されません。

     年金、医療、介護などの社会保障関連情報、生命保険の考え方や選び方、FP
     情報などが適切なテーマといえるでしょう。

     ただし、ファーストアプローチ(情報提供)の段階では、深い話をする必要はあ
     りません。

     なぜなら、お会いするすべてのお客様に話すということは、興味のないお客様
     にもお話しするのが前提だからです。

     興味のないお客様に専門的な話をしすぎてしまうと、興味を示さないばかり
     か、嫌がられてしまう懸念もあります。

     したがって、シンプルな内容だけお伝えして「興味があるかどうか伺う」というス
     タンスで良いでしょう。

   4.見込み客の定義(誰に話をするのか?)

     保険代理店が何気なく使っている言葉に「見込み客」という言葉があります。

     生命保険販売における「見込み客」をしっかり定義しておく必要があります。

     見込み客といえば、「成約できそうな人」と考える方が多いかもしれませんが、
     標準化されたセールスプロセスでは違う捉え方をしています。

     標準化されたセールスプロセスにおける見込み客とは、「面談できる人」です。

     生命保険は「ニーズ潜在型商品」ですので、生命保険を必要としているお客様
     でも、その必要性に気付いていないケースがよくあります。

     このとき、見込み客を「成約できそうな人」つまり「今、保険加入を検討している
     人」と捉えてしまうと、多くのお客様を見逃してしまう可能性があります。

     「面談できる人」と考えたなら、情報提供を継続することでお客様が自らニーズ
     に気付いた時点であなたのところに相談が来て、いずれは契約していただけ
     るかもしれません。

     したがって、見込み客はできるだけ幅広く捉えることが重要です。

     損害保険の代理店には損害保険を通じたお客様がいます。

     そのお客様に「生命保険でもこの人、この代理店に相談すれば良い」と思って
     もらえるよう、まずはお客様との関係強化活動に努めていくことが重要だという
     ことです。

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