中小企業の防災対策
 

  ■中小企業における防災対策

   日本は地震・台風・豪雨といった自然災害が発生しやすいうえに、ライフラインや建築
   物が高密度な都市部では、火災や地震などの災害が起きると、大きな被害を受ける
   恐れがあります。

   例えば、95年に発生した阪神・淡路大震災では、多くの企業が甚大な被害を受け
   ました。

   被害は人的損失から、社屋や工場といった物的損失、事業の中断による操業損失
   などさまざまです。

   また、事業復旧が遅れた企業などは、「十分な防災対策を講じていなかった」として
   信用を失いました。

   そのため、地震などの大災害へ備えるために企業が果たす役割が重要になってい
   ます。

   企業の社会的責任(CSR)が盛んに議論されている現在、環境問題などとともに、
   防災への取り組みもCSRとしてとらえられており、企業経営に大きな影響を与える
   防災への取り組みは、今後、企業価値向上には不可欠と考えられます。

   このような中、多くの企業が
    ・被災した際にいかに早く事業を復旧させるかをあらかじめ準備しておく
     事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)の策定

    ・防災に対する取り組みを社会的に適切に評価する仕組みの構築などの検討
     の重要性を強く認識するようになりました。

  □遅れる中小企業の防災対策
   企業規模別の防災・安全対策の実施状況は、ほぼすべての項目において、中小企業
   は大企業よりも対応が大幅に遅れていることが分かります。

                防災・安全対策の実施状況(出所:名古屋商工会議所)  

対応 大企業 中小企業
食糧・水・物資の備蓄をしている 65.8% 26.5%
情報システムの耐震対策を実施済み 57.5% 21.9%
帰宅困難者対策について決めている 51.0% 27.2%
防災訓練を実施している 77.4% 40.7%

  □企業における防災対策

   「防災ハンドブック(事業所用)」(名古屋市)を参考に、企業における防災(地震)対
   策を3段階に分けて考えてみます。

    1.事前対策
      事前対策は、以下の2つに大別されます。
       ・予防対策:建物などの構造上の危険性、什器・備品などの危険性の軽減
        に関すること

       ・防災計画:効果的な緊急時対応と復旧・復興の手順に関することに分け
        られます。

    2.災害発生時の「緊急時対応」
      緊急時対応は場当たり的に行うのではなく、どのような対応を取るかについ
      て事前に計画します。

      具体的には
        ・災害対策組織の編成方法
       ・災害対策組織の任務
       ・任務遂行に必要な資機材や装備
      などを検討します。

      災害発生時の「緊急時対応」については、下表のような計画の立案が望ま
      れます。(出所:名古屋市「防災ハンドブック(事業所用)」

    3.業務の回復に向けた「復旧・事業継続対策」
      業務の回復に向けた「復旧・事業継続対策」については、一般に以下のよう
      な計画立
案が望まれます。

      【復旧・事業継続対策】

       (1)復旧体制の整備
         復旧計画を事前に立案するのは困難ですが、想定されるリスクを把握
         し、対策を検討しておきます。

         具体的な内容は、業種などによって異なりますが、一般的検討事項は
         次の通りです。
          ・設備の緊急点検、施設の被害状況調査、安全確認
          ・後片付け
          ・復旧対策班(対策本部)の設置
          ・コンピューターシステムの復旧計画
          ・応急金融(銀行、信用金庫など金融機関とは日ごろから信頼関係を
           築いておくことは、地震対策としても重要です)
          ・相互援助協定
          ・復旧要員、資材の確保(業者手配)
          ・ライフラインの確保(電気・ガスなどの供給事業者との連絡調整)
          ・輸送交通手段、ルートの検討および確保
          ・復旧状況調査
          ・復旧見込みの発表

       (2)協力会社との連携
         地震対策は本支店間の応援だけでなく、協力会社の応援も視野に入
         れる必要があります。

         協力会社との連携を図り、早期復旧するために次のことを検討します。
          ・協力会社から得られる応援の把握
          ・協力会社の地震対策策定の支援

       (3)事業継続
         事業継続に関する事前対策を検討しておきます。

         業種などにより内容が大きく異なりますが、一般的に検討する事項は
         次の通りです。

          ・地震後の設備点検表の整備
          ・相互援助協定の締結
          ・本支店間の相互応援計画の策定
          ・顧客リストおよび取引先リストの整備
          ・取引先の分散化
          ・データべースのバックアップ保管
          ・重要記録類の保全

       (4)得意先対応
           サービス提供の中断などによる取引先のリスクにも対応することが大
         切です。

         例えば、次の事項を検討することをお勧めします。
          ・顧客や取引先への情報提供(被災情報、復旧見込み、仮店舗の案
           内など)

          ・顧客や取引先への支援部隊派遣
          ・顧客へ生産出荷計画の変更連絡と調整
          ・顧客や取引先へのお見舞い

     【参考サイト】
      ・「事業継続ガイドライン第1版」チェックリスト
      ・企業の地震対策の手引き

      ・地震対策をはじめとする危機管理の社内マニュアル(危機管理計画書)
       のサンプル
      ・復旧計画策定上のポイント(製造業向け) 

      ・地震対策ポケットメモ(サンプル)

      ・危機管理計画書作成チェックリスト25

      ・「防災・危機管理 e-カレッジ」のサイト

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