顧客のニーズを満たす提案方法
 

  ■「商品のメリット」と「お客様にとってのメリット」

   法人営業を対象に、営業担当者が顧客に対して、顧客のニーズを満たす提案方法
   として、「顧客に分かりやすくメリットを伝える」ために実践しておかなければならない
   事前準備についての方法を解説します。

  □営業担当者と顧客の間のギャップ

   1.営業担当者と顧客の間のギャップ

     営業活動は、漫然とやっていてもなかなか成果は上がりません。

     成果を上げるためには、営業担当者が「売る技術」を磨かなければならない。

     「売る技術」には、「顧客の潜在化しているニーズを予測する」「顧客からニーズを
     ヒアリングする」「分かりやすい提案資料を作成する」などさまざまな能力が含まれ
     ます。

     多くの営業担当者は、「売る技術」の一つに、「顧客にメリットを分かりやすく伝え
     る」ことが含まれており、それが大切であることは知っているはずです。

     しかし、いざ顧客と面談する場面になると、営業担当者は自社の商品がいかに
     優れているかということばかりを説明してしまい、顧客にとって「どのようなメリッ
     トがあるか」をうまく伝えられていないケースが少なくありません。

     この場合、「営業担当者が伝えていること」と「顧客が知りたいこと」の間にはギャ
     ップが生じています。

     簡単に言うと、営業担当者は「その商品は何か」といった商品の特長を伝えようと
     しており、顧客は「その商品で自分(自社)はどのような得をするか」を知りたいと
     思っています。

     こうしたギャップは、営業担当者が次のような状況のために生じます。

      ・顧客目線に立っていない

      ・「顧客の本当のニーズ」が理解できていない

      ・自分の中で商品のメリットが明らかになっていない

      ・「顧客に提供できるメリット」が整理できていない

   2.「営業担当者の思い」と「顧客の気持ち」

     営業担当者は「自社の商品にはどのようなメリット(特長)があるか」を伝えてお
     り、説明を聞く側の顧客は「自社にとってどのような得(メリット)があるのか」を
     知りたがっている。

      ●営業担当者

       商品の特長を伝えている

        ・優れた点が分かれば購入してくれる。

        ・この商品は○○にこだわっている。

        ・今までこの方法で売れていた。

      ●聞いている顧客の気持ち

       「どのような得をするか」を知りたい

        ・何ができるのか?

        ・どのような良いことがあるのか?

        ・自分(自社)に必要な理由は?

   3.分かっているつもりで分かっていない「メリット」

     当たり前のことだが、営業活動で最も重要なのは、「顧客のニーズに応えること」
     です。

     そこで顧客のニーズを知るために、営業活動においては、顧客の状況について
     事前に情報収集したり、顧客にヒアリングすることが重要になります。

     その上で、「自分たちが、顧客のニーズに対してどのように応えることができるか」
     について、顧客に分かりやすく伝えることが大切です。

     たとえニーズが明らかになっていても、営業担当者の案内する商品が「自分(自
     社)を満たす」ということを、顧客が理解してくれなければ、購入してもらうことは
     難しいからです。

     そこで、営業活動においては、次の2つがポイントとなります。

      1.顧客ニーズの把握

      2.自社の商品や自社との取引によるメリットの提示

     「顧客のニーズの把握」は営業の基本であり、顧客からのヒアリングが大切で
     す。

     自分たちの取り扱っている商品について掘り下げて整理しなければなりません。

     考え方を学んだだけで、自社の取り扱っている商品を掘り下げなければ、営業の
     現場で実践することはできないからです。

     自社やその商品のことは自分たちが一番よく知っているはずです。

     しかし、自社の商品や自社との取引が顧客にとってどのようなメリットがあるかに
     ついては、「実はちゃんと整理できていない」ことが少なくありません。

     次に「顧客にもたらすメリット」について、営業担当者が、自分たちの取り扱って
     いる商品や、自社にまで落とし込んで整理するための方法を紹介します。

   4.商品のメリット(特性)を整理する

     (1)ステップ1(商品の特性を明らかにする)

       商品の持つ特性を明らかにします。

       特性とは、「優れた性質や特徴」を指します。

       商品には「売り」にできるような優れた性質や特徴があるはずです。

       商品の特性は、「競合他社の商品に比べて優位性(強み)がある」という視 
       点を中心に考えます。

       その際には以下のような項目で検討してみるとよいでしょう。

        ・「性能」「技術(専門性)」「実績」「納期」

        ・「見た目(スタイルやデザインなど)」

        ・「価格」「サービス(アフターサービスなど)」など

       特性を明らかにするときには、具体的な数字を用いるなど、優位点やほか 
       との差異が貝体的に分かるような言葉を使います。

       また、数字を使うときには、その根拠を明らかにしておくことが必要です。

     (2)ステップ2(商品の特性を顧客にとってのメリットに変える)

       次に、明らかにした商品の特性を顧客にとってのメリットに変えてみます。

       その際には、「御社では△△(ニーズ)ということでしたら、この商品は
       ○○(特性)なので、□□というメリットがあります」のように、「ニーズ、特
       性、メリット」を一連のストーリーとして伝えられるようにします。

       特性をメリットに変える際のポイントは、「売り上げ拡大」「コスト削減」
       「リスク回避」のいずれかにつながるかどうかという視点で考えるという
       ことです。

       顧客のニーズはさまざまですが、法人営業の場合、「売り上げ拡大」「コスト
       削減」「リスク回避(資金繰り、人)」のいずれかに集約できます。

       言い換えると、この3つのいずれかが顧客の「購買決定要因」となります。

       そこで、特性をメリットに変えるときは、3つの「購買決定要因」につなげるこ
       とを意識すると、顧客にメリットを理解してもらいやすいのです。

       ただし、中には3つの「購買決定要因」に直接つなげていくものも出てきま 
       す。

       例えば、パソコンを例に挙げると、「商品の特性」では、「見た目」という項目
       の特性は、「従来の機種より薄い」となります。

       メリット楽に持ち運びができる」というものが考えられますが、こ 
       こから「売り上げ拡大」「コスト削減」「リスク回避」のいずれかを連想する顧
       客は少ないでしょう。

       このように、「購買決定要因」である「売り上げ拡大」「コスト削減」「リスク
       回避」に直接つなげにくいメリットは、「購買決定要因」につながるメリット
       を顧客に伝えた後で、「購買決定を後押しするカード」として使うとよいで
       しょう。

       例えば「性能」「技術」「納期」「価格」が「購買決定要因」につながりやすい
       メリットということになります。

   5.「自社が顧客にもたらすメリット」も同様に整理しておく

     営業担当者が顧客に説明すべきもう一つのメリットとして、「自社との取引」が 
     提供できるメリット、つまり、「自社が顧客にもたらすメリット」も整理しておきま
     す。

     整理する方法は「商品がもたらすメリット」の場合と同様で、「競合他社に比べ 
     て優位性がある」という視点を中心に考えます。

     その際には、「人材」「実績」「ネットワーク」といった項目で自社の特性を明ら
     かにし、それをメリットに変えてみます。

     特性をメリットに変えるときには、「信頼性」「ビジネスチャンス」のほか、「自分
     たちにないものを補完してくれる」という「補完性」につながるように変えてみま
     す。

     顧客から見ると、自分(自社)に関連することをよく知っている企業には、「信頼
     性」「ビジネスチャンス」「補完性」などのメリットを感じやすい傾向にあります。

   6.相手(顧客)ありきを忘れない

     これまで、営業担当者が自分たちの取り扱っている商品や企業(自社)につい
     て、顧客のニーズを満たすようなメリットを分かりやすく伝えることができるよう
     に整理する方法を紹介してきました。

     ただし、営業活動は、常に伝える相手がいることを忘れてはなりません。

     メリットを伝えるときも、相手の立場(役職・職種・年齢など)や考え方などを考
     慮した上で、伝え方を工夫しなければならないのです。

     それと同時に、自分なりに整理した商品の特性とメリットについては、社内で共 
     有したり実際の営業の現場で顧客から聞いた感想やリアクションなどを踏ま
     え、常に組織として見直していくことが大切です。

     こうした活動を繰り返していくことが営業の成果、ひいては新たなビジネスチャ
     ンスの獲得につながっていくのです。

   7.顧客にもたらすメリット

   8.”我流トーク”をしないための心構え

     顧客のニーズを無視して、自分の話したいことだけを雄弁に語る“我流トー
     ク”をしないために、営業担当者は次のことを常に心掛けましょう。

      ・常に顧客に関する情報を収集している  

      ・営業に関する情報を収集できる社内人脈を持っている

      ・同業界に2社以上の顧客を持ち、偏りなく情報を収集できるように
       している

      ・同業他社(場合によっては自社の競合)の営業担当者から情報を
       収集できるようにしている

      ・自社商品の特性を熟知し、それを「売り上げ拡大」「コスト削減」
       「リスク回避」の切り口で、顧客のメリットに変換することができる

      ・自社の強み(取引実績、ネットワークなど)を熟知し、顧客にきちんと
       説明できる

      ・「高いですね」と言われたときの切り返しトークを持っている

      ・営業前は、必ずロールプレイングをするか、営業シナリオをつくり、
       「自分の営業トークが顧客のメリットにつながるか」を検証している

      ・営業後はすぐに訪問結果をまとめ、次に生かすようにしている

   最後に、客先では決して焦らないことです。

   「高いですね」「お力にはなれないと思いますが」などと言われた瞬間に焦ってしま
   い、いきなり値下げプランを提示したり、脈なしと判断して帰ってしまう営業担当者
   がいます。

   これでは営業失格です。

   価格などの条件に注文をつけたり、一歩引いた発言をするのは、顧客の常とう手
   段です。

   「まあ、そうおっしゃらずに。今日は良いご提案ができると思うので、15分だけお
   時間をください」などといったように、冷静に切り返せるようになりたいものです。

   そのためには事前準備が必要であり、重点的に準備すべきなのが、ここで紹介し
   てきた「顧客のメリット」を中心に考える営業トークなのです。


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