新規事業開発のプロセスとポイント

          

新規事業開発のプロセスとポイント

  ■新規事業の開発

   企業をとりまく経営環境は、技術革新による競争の激化や、消費者ニーズの多様化によ
   る商品寿命の短期化など、今までにないスピードで変化を続けています。

   このようななかで、「現在の事業のみではいずれ経営が行き詰まってしまう」との危機
   感をもつ社長も少なくありません。

   会社が生き残っていくためには、自社商品を進化させ続けなくてはなりません。

   それは多くの場合、旧来品よりも優れた、あるいは別の機能をもった「新商品」投入
   という形で実現されます。

   もちろん、この活動は重要ですが、そこにはあくまで「これまでの流れ」という制約条件
   がつきまといます。

   大きな環境変化が起これば、まったく新しい事業、つまり新規事業を打ち出す必要も
   出てきます。

  □新規事業進出の留意点

   新規事業で成功するのは容易なことではありません。

   「儲かりそうな業種だから」「自分にもできそうな業種だから」との理由だけで新規事業
   に進出することは大変危険です。

   誰にでもできそうで儲かりそうな事業ほど新規参入も多く、激しい競争に陥る可能性
   が大きいとも考えられます。

   ですから、自社の企業理念や将来の自社像を実現させるために必要な事業を行うと
   いう心構えで慎重に事業を選ぶことが望まれます。

  新商品開発と新規事業開発

   新商品開発は、その言葉通り新しい商品を考えることです。

   メーカーであればニーズの変化や競合企業の状況なども踏まえて、新商品を開発し、
   市場に投入します。

   技術革新の激しい分野では、半年ごとに新商品が投入されることも珍しくはありません。

   開発された商品は、基本的にはこれまでと同じ流通経路を使って、同じような方法で
   販売されます。

   価格付けなども旧来品の価格を参考に行うことができます。

   つまり新商品開発では新しい商品ができさえすれば、すでに売るための仕組みが整って
   いることになります。

   新規事業開発はすべてをゼロベースで考える必要があります。

   例えば、同じメーカーが競争激化などで苦戦が続き、新規事業として、外食事業を
   立ち上げるとします。

   当然ながらこれまでの製造ノウハウはもちろん、販売のための既存の流通経路も使え
   ません。

   顧客ニーズも、最初はまったくわからないでしょう。

   つまり新規事業開発では、仕入れ、製造、販売といったすべての仕組みをゼロべース
   で構築していかなければなりません。

   これは、はじめて会社を立ち上げて市場に参入するのとほとんど変わらない状況です。

   ここに新商品開発と新規事業開発の決定的な違いがあります。

   このように、新商品開発に比べて新規事業開発の難易度は高く、成功までの道のりも
   長いものになります。

  □新規事業開発(実現)までのプロセス

   新規事業実現のためには、

    1.「コンセプトの組み立て」

    2.「事業モデルの構築」

    3.「事業計画作成」

   のプロセスから成り立ちます。

    1.コンセプトの組み立て

      どのような新規事業を行うのか、その骨
      格を組み立てていくステップです。

      (1)アイデアの創出 

        できるだけ自由な発想でスタートすることが必要です。

        いきなり「どのような新規事業にするか」を考えるのではなく、
        たとえばディスカッションのなかで、「最近自分が購入した商品のなかで
        特に満足度の高かったもの」をあげ、なぜそのように感じたのかを発表し
        合います。

        最近とくにヒットしている商品をいくつかとりあげ、なぜそれがヒットしてい
        るのかの仮説を議論してみるのもよいでしょう。

        多くの新規事業は、このような自由な議論のなかから誕生しています。

        また、職場ではなく、合宿形式など、普段の常識にとらわれにくい環境で議論
        するのも効果的です。

        日常的な仕事から頭を切り換えることで、まったく新しいアイデアが生まれる
        確率も高まるでしょう。

        そしてこのような議論のなかから、自社の現状の強みをいかせる新規事業案
        を絞り込んでいきます。

      (2)事業化の可能

        創出されたアイデアが事業として基本的に成立するかどうかを社内外の環境

        に照らし合わせて評価します。

        同時に、誰に対してどのような商品を提供するのかといった事業ドメイン
        (領域)も検討します。

      (3)コンセプト 

        検討したコンセプトを最終的にまとめていきます。

        コンセプトには次のような顧客の視点から見た「5W2H」の内容が盛り込まれ
        ている必要があります。

        ●コンセプトに盛り込むべき5W2H(顧客が自社商品を購入するシミュ
         レ
ーション)

         ・When      いつ、どんなときに

         ・Why       なぜ、どのような理由で

         ・Who       誰が、どんな人が

         ・Where      どこで、どのような場所で

         ・What       具体的に何を

         ・How        どのように

         ・How much   どのくらいの価格で

        ●新規事業分野の候補をリストアップ

         事業展開の方向が定まったところで、さらに次の3つの視点を加えて新規事

         業分野の候補を検討する必要があります。

          (1)本業との相乗効果が得られる分野への進出

            新分野への進出が従来の商品・サービスにプラスの効果を与え、相
            乗的な売り上げの拡大が見込まれるため、一般的にはリスクも小さく
            なります。

            また、まったくの新分野への進出であっても、現業にそのノウハウ
            が役立つ場合もありますので、そのような視点からの検討も必要とな
            ります。

          (2)異なる事業分野にまたがる領域への進出
            業界と業界との垣根、すなわち業界のすき間への進出です。

            たとえば、割烹、レストランと宅配業との関連事業として、ケータリ
            ングサービスを新規に手がけるケースなど。

          (3)成長業種への進出

            たとえば、

             ・IT関連産業

             ・教育産業

             ・介護、健康関連産業 など

        ●新規事業決定の留意点

         以上の(1)〜(3)の視点でさまざまな事業をリストアップし、進出する分
         野を決めていきます。

         しかし、どの事業に取り組んでもよいわけではなく、新規事業分野の候
         補案を評価し、その結果を比較して進出事業を決定することが必要とな
         ります。

    2.事業モデルの構築

      コンセプトを実際の事業モデルに展開していくプロセスです。

      冒頭で述べたように新商品開発と違い、新規事業開発では既存の社内リソース
      はほとんど使えません。

      事業化のために、必要な機能を一つひとつ構築していく必要があります。

      次のようなマトリクスを使い、必要な機能をもれなく抽出し、現時点でない機能に
      ついてはどのように獲得していくか、あるいは外部を活用するかなどを検討して
      いきます。

      その際、自社の強みに直結する機能についてはアウトソースせずに必ず社内で
      対応することが必要です。

    3.事業計画立案 

      ステップ2で策定した事業モデルをいか
      に構築していくか、また事業モデルを使
      って実際にどのような事業展開を行って  
      いくかを検討します。

      事業開始直後だけではなく、最終的な目
      標に向けたマイルストーン(事業の進捗
      を管理するために途中で設ける節目)も
      作成します。

      たとえば外食事業に取り組む場合は、
      多店舗展開するのか、そうであればどの
      程度の店舗数をどの時点でめざすのかと
      いったシナリオ作りも行います。

      (1)スケジュール

        事業開始から数年後までの節目となる
        期日とその時点での実現目標に落とし
        込むことでシナリオ化していきます。

      (2)基本計画の策定

        当面の目標および事業開始から数年後までの事業計画をまとめていきます。

        売上、利益といった 数値計画だけではなく、前述の「事業モデル構築マトリ
        クス」で抽出した必要機能をどのように獲得・強化していくのかも時系列で計
        画します。

        その際には以下の点について明らかにしておくことが必要です。

       ●基本計画に盛り込むべき内容

         「誰が」………………実行者、責任者は誰かを明確にする

         「何を」………………具体的にどのような機能を高めるかを明確にする

         「どのレベルまで」…できるだけ数値目標化する      

         「いつまでに」………それぞれの納期を明確にする

        収支のシミュレーションは数パターン行い、最悪のシナリオとして撤退する場
        合の基準となる目安も決めておきます。

      (3)資金計画の策定 

        投資金額、必要な資金調達額、資金調達方法、償却方法、返済方法などを
        まとめた資金計画を作成します。

        また単年度黒字化年度、累損一層年度など節目の時期をシミュレーション
        によって明らかにします。

      (4)ビジネスプランの完成

        新規事業を開始するにあたって必要なその他の個別プランを詳細に策定し
        ます。

        具体的には生産販売、物流、採用などの計画が必要になります。

        なおここでも基本計画と同様に「誰が」、「いつまでに」といった責任と納期
        などを明確にしておくことが必要です。
  
  □新規事業開発の体制

   新規事業開発は、これまで説明してきたとおり大変困難な業務です。

   また、経営の屋台骨に影響を及ぼす重要な業務でもあります。

   このため、新規事業開発に社長自らが陣頭指揮を執るケースが多々みられますが、それ
   はあまり好ましいことではありません。

   理由は、社長自身が新規事業開発に没頭してしまうと、既存事業に支障が出るおそれが
   あり、新規
   事業に思い入れが強すぎると撤退時期を見過ごすなど、経営判断を誤るおそれがあるか
   らです。

   そのため、新規事業開発の推進者・責任者には実力のある幹部クラス社員を社長直轄
   で抜擢し、社長は随時進捗状況の報告を受け、指導を行うと同時に冷静な目で経営
   判断を下していくことが大切です。

   また新規事業開発には多種多様な技術・知識・ノウハウが必要であり、実際に推進して
   いくためには強力なパワーも求められます。

   そのため、幹部クラス社員をリーダーにして社内の複数部門の精鋭を集めたプロジェク
   トチームを結成するのが一般的です。

   その際にはプロジェクトメンバーは通常業務と兼務ではなく、できるだけ新規事業開
   発に専任させるほうがよいでしょう。   

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