企画力の向上


  企画力を高める方法

  □企画とは

   ビジネスのさまざまな場面で「企画」という言葉が頻繁に使われます。

   ほとんどの社長も部下に対して、「○○に対する企画を出すように」といった指示を出し
   た経験があるでしょう。

   ここでは、企画についての考え方、企画力を高めるための方法について解説します。

   1.「アイデア」と「企画」の違い

     ビジネスにおける企画とは、明確な目的をもってその実現のための道筋をつける
     ことです。

     企画と同じように使われる言葉に「アイデア」がありますが、アイデアは目的実現の
     ための「発想、思いつき」であり、そのままでは企画とはいえません。

     アイデアを具現化するための現実的なストーリーが企画ということになります。

     たとえば、新商品開発の企画においては、「こんな商品があったら面白いな」と
     いうアイデアだけではなく、「その商品が売れる見込みはどの程度か」、「どのくら
     いの開発費がかかるか」、「どのような体制で進めるか」といった検討も求められ
     ます。

     つまり、企画段階では実際にそれを行う
     べきかどうかを判断するための論理性が
     備わっていることが不可欠なのです。

     部下に指示を出す際には、「アイデア」と
     「企画」という言葉を使い分けて、部下に
     その定義の違いを理解させるとともに、指
     示を出す側の期待水準がアイデアレベル
     なのか、企画段階まで求めているのかを
     伝える必要があります。

   2.「企画lと「計画」の違い

     企画はその実現性や妥当性が十分に吟味
     され、採用されれば実際の行動レベルに
     向けた「計画」策定に移ることになります。

     計画では実行に向けた具体的な段取り
     スケジュールなどの詳細さが求められます。

     企画とは思いつきレベルのアイデアよりは具体的・論理的でありながらも、あくま
     で「青写真」の段階であり、その後の計画策定に向けた意思決定材料と捉えるこ
     とができます。

     このように企画とは思いっきであるアイデアと計画の中間にあるものです。

     企画の土台となるのは斬新なアイデアであり、そのアイデアを優れた企画にまと
     めることで、やるかやらないかの意思決定を経て、より具体的な計画につなげてい
     くものです。

  □企画力を高めるために

   1.企画の要件を確認する

     前述のように企画はそれを実行するかどうかが判断できるものでなければなりま
     せん。

     そのため企画立案の際には、次のような「6W2H」について十分に検討し、明
     らかにする必要があります。
     (1)Why(なぜ)

       ・なぜ必要なのか

       ・どんな問題を解決しようとしているのか

       ・それによって誰がどのような効果を得るのか

     (2)What(何を)

       ・何をしようとするのか

       ・やることの範囲はどこまでか

     (3)Who(誰が)

       ・誰が行うのか

       ・どのような体制で行うのか

       ・どのくらいの工数、スキルが必要になるのか

     (4)Whom(誰に)

       ・誰に対して働きかけるのか
       ・最終的にどのような顧客層をターゲットとしているのか

     (5)When(いつ)

       ・いつから開始し、いつまでに完了するのか

     (6)Where(どこで)

       ・どの場所で行うのか

     (7)How(どのように)

       ・どのような方法で行うのか

       ・完了までどのようなステップで行うのか

     (8)How much(いくら)

       ・どのくらいの予算がかかるのか

       ・得られる効果に対して妥当な予算か

   2.企画書にまとめる

     頭の中で考えるだけではなく、実際の企画書としてまとめる経験を積むことで、企
     画力も次第に高まります。

     また、企画はほとんどの場合、相手を説得するために行いますので、相手に理解
     してもらうためのわかりやすい企画書を作成すること自体が企画能力の一部とい
     えます。

     特に顧客に対してプレゼンテーションを行う場合は企画書の装丁などの見栄えも
     重要になります。 

     一般的に企画書は次のような目次で構成されます。

     (1)はじめに

       企画について興味をもってもらうための「つかみ」の部分です。

       企画全体の概要とともに、特に強調したい部分、企画実現による効果など 
       について簡潔に説明します。

       また、相手がもっとも関心をもっていると思われるキーワードを組み込むこ 
       とで、期待感を高めることも効果的です。

     (2)企画背景

       なぜ今回の企画を思いついたのか、
       なぜそれが必要と思ったのかなどに
       ついて説明します。

       企画の背景にある問題意識を明確に
       する部分です。

       たとえば、自社の顧客数が減少してい
       る場合には、自社商品が世の中のニ
       ーズの変化に対応できていないこと、
       販売体制が硬直化していること、後
       発の競合企業が急速に台頭している
       ことなどが企画背景として考えられます。

     (3)企画目的

       この企画によってどのような目的を達成
       したいのかを説明します。

       顧客数拡大の企画であれば、たんに
       顧客数をどの水準まで上げるかだけ
       ではなく、そのプロセスによって、顧客
       ニーズの収集力や商品開発力を向上
       させることなどが企画目的として考えられます。

     (4)現状分析

       現状について、できるだけ客観的なデータを使って分析します。

       競合企業に顧客を奪われているのであれば、自社の顧客数がどの程度減少
       しているのか、特にどの商品の顧客数が減少しているのか、どの価格帯の商
       品販売数が減少しているのか、競合企業の顧客獲得状況はどうかなどについ
       て分析する必要があります。

       また、顧客数の減少などの定量(数値)的なデータだけではなく、アンケートに
       よる顧客のコメントなど定性的なデータ分析も有効です。

       これらの分析によって自社が抱えている問題点をできるだけ深く、論理的に掘
       り下げます。

     (5)仮説

       現状分析を踏まえて仮説を立てます。(仮説とは「証明されてはいないが、恐
       らくこうだろう」という考え方のこと)

       たとえば、競合企業が顧客数を増やしているのは、顧客ニーズを徹底的に分
       析しているからではないか、その土台となっているのは営業マンの情報感度の
       高さではないかなどの仮説が考えられます。

       この場合は自社の業界以外でも顧客ニーズ分析に注力し、成功している企業
       の事例などを交えることで説得力は増します。

       そして、自社の営業マンの情報感度は成功企業に比べてどのような点が劣っ
       ているのかを比較し、どのような点を改善すれば顧客数拡大につながるのかと
       いった方向性を打ち出します。

     (6)企画内容

       仮説によって導かれた方向性を実現するために、具体的にいつまでに何をす
       べきかという企画全体の内容を説明します。

       これは(3)の企画目的をブレイクダウンしたものでもあります。

       目的達成のために必要なさまざまな施策、責任部門、実現までのステップ、ス
       ケジューリング、必要工数、必要資金などを明確にします。

       関係する部門やメンバーから理解を得るための配慮も求められます。

       企画全体の設計図となる部分であり、それぞれの施策がどのように進行し、
       どのように連動していくのかについてわかりやすく説明する必要があります。

     (7)期待成果

       企画実行によって具体的にどのような成果を得られるかを説明します。

       顧客数拡大の企画であれば、それによってどれだけの売上増につながるのか、
       その効果は長期的にどの程度維持できるのかなどの説明が必要です。

       また、費用対効果、投入工数対効果の面においても今回の企画が十分に合理
       的であることを示すことが必要です。

     (8)想定される問題と解決策

       企画実行に当たってはあらかじめ想定される問題があります。

       たとえば、新しいことにチャレンジする際、既存業務のための工数(作業に従事
       する人間の数×かかる時間)をどのように確保するかという問題が想定されます。

       また、過去に同様の企画を行って失敗したことがある場合は、失敗した要因を
       分析して今回はそれをいかに除去するかという方策も求められます。

       このように想定される問題についてあらかじめ明確にしておき、具体的な解決
       策を提示することで企画の信頼性が高まります。

  アイデアの創出方法 

   素晴らしい企画の土台にあるのは斬新なアイデアです。

   アイデア創出のためには次のようなことがポイントになります。

   1.つねに幅広い問題意識をもっておく

     アイデアとは現状改善や新しい価値創出を行うための着想です。

     したがって、現状について何ら問題を感じていない人は、アイデアを生むための動
     機がありません。

     すべての会社には経営戦略から日常業務までさまざまなレベルでの問題があり
     ます。

     また、製造部、販売部など部門ごとの問題もあります。

     たとえば、自分の周囲にだけしか問題意識をもっていない社員は、その限定され
     た範囲でのアイデアしか湧いてきません。

     社員には常日頃から自分の担当業務はもちろん、できるだけ広い視野で、部門全
     体・会社全体に対する問題意識をもたせることが大切です。

   2.関心外の情報にも目を向ける

     日頃から情報収集に熱心な人でも、その範囲は自分の関心事が中心でしょう。

     たとえば、自社が属している業界については業界紙や専門雑誌などで情報収集し
     ていても、業界外のことについてはほとんど目を向けていないことも多いものです。

     しかし、斬新なアイデアのネタは業界外の思わぬ所に多数存在しています。

     業界内ではこれまで慣習上あり得なかった他業種の販促手法などが、ヒントにな
     ることも多いものです。

     また、情報収集の対象はビジネス分野だけには限りません。

     ファッションの流行、テレビのバラエティ番組、インターネットの趣味サイトなど、
     自分には「公私とも興味がない」と思えるような情報にもできるだけ接することを
     心掛けましょう。

     たとえば、テレビのチャンネルを変えるときに、好みの局をダイレクトに選ぶのでは
     なく、ひとつずつ上げ下げをすることで、見るつもりのなかった意外な情報に接す
     ることができるかもしれません。

   3.思いついたことはすぐにメモする

     少しでも面白いと感じたことはメモしておく
     ことが大切です。

     情報を受け取ったときには「なるほど」と
     感じても、放っておけば普通はどんどん忘
     れてしまいます。

     すべてを記録するのは大変ですが、メモ
     程度なら気軽に始められるでしょう。

     メモには後から読み返したときに記憶を 
     手繰れるように、キーワードやなぜ自分が
     面白いと感じたかなどを記入していきます。

     これを続けることで自分のネタ帳として活用
     することができます。

   4.視点を変えて発想する

     斬新なアイデアを生み出すためには、通常とは違う角度から物事を考えることも
     役に立ちます。

     世の中全体、業界内、社内などの常識や先入観をいったん取り払って自由に発想
     してみるのです。                

     そのための視点としてよく使われるのが「オズボーンのチェックリスト」(ブレーン
     ストーミングの考案者として有名なA・F・オズボーンによるアイデア発想技法と呼ば
     れる次の9つの視点)です。

     (1)転用する

        ・そのままで新しい使い道はないか

        ・改善、改良して他の使い道はないか  など

         例)売れ残りのお中元ギフトセットの中身をバラで販売する

     (2)応用する

        ・何か真似できないか
        ・似たものから応用できないか  など
         例)他社の成功事例から成功要因を学び、自社事業に適用する

     (3)変更する

        ・見た目や機能などを変更したらどうか

        ・意味、色、動き、型などを変更できないか  など

         例)商品のパッケージをわかりやすいものに変える

     (4)拡大する

        ・大きくできないか

        ・時間を拡大できないか  など

         例)商品の仕入れ頻度を落としてコストを削減する

     (5)縮小する

        ・小さく、分割できないか

        ・軽く、低く、短く、薄くできないか  など

         例)野菜を食べきりサイズに小さくカットして販売する

     (6)代用する

        ・他の人に使えないか

        ・他のもので代用できないか  など

         例)エネルギーをガソリンから風力に代える

     (7)置き換える

        ・原因と結果を入れ替える

        ・順番、時間、要素を入れ替えられないか  など

         例)製造工程を入れ替えることでリードタイムを圧縮する

     (8)逆転する

        ・常識とは逆の価値を生み出せないか

        ・上下を逆に、後ろ向きにしてみたらどうか  など

         例)価格が高いことを訴求材料にする

     (9)統合する

        ・組み合わせたらどうか

        ・つなぎ合わせたらどうか  など

         例)携帯電話にカメラ機能を組み込む

     これらの視点については自分自身で考えるだけではなく、ポジション、経験、専
     門性などが異なる人が集まってブレーンストーミングを行うことで、より多くのより
     質の高いアイデア創出が可能になるでしょう。

 

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