事業計画書の作成


  事業計画書(計画)

   事業計画とは、企業が既存事業および新規事業において、「どのような成長シナリオ」
   を想定し、「いつまでに、どのくらいの売り上げ(収益)規模」にまで育てていくのか、
   また「その実現に必要とされる経営資源は何か」などを具体的に説明するものです。

   主に資金調達や業務提携、あるいは社内の意思統一を図るときに用いられますが、
   事業計画の策定にあたっては、あらかじめ「なぜ作るのか(必要なのか)―その目的」
   と「どのように利用されるのか―その役割」を明らかにしておく必要があります。

   また、事業計画が社外の利害関係者によって厳しく点検・評価されるものであることにも
   留意しなければなりません。

  □事業計画の目的

   事業計画を策定する目的は、それが「一体誰のために作られるのか」によって、以下の
   ように分類することができます。

   (1)経営者のため

     自社の経営戦略に従って事業構想を行ない、その事業をどのような成長シナリ
     オの下で育て、投資に見合う収益を得られるのかを点検・評価するために作成。

   (2)社内の事業推進者(社員など)のため
     どのような創意工夫と努力をすれば、事業が成功するのかを社員などに理解さ
     せるために作成。

     これは、一人ひとりが新規事業の提案を行う際のモデルともなります。

   (3)提携先や協力業者のため
     事業を立ち上げるにも自社だけでは無理です。最も高い専門能力をもつ提携先
     や優れた技術・アイデアをもつ協力業者に、事業目的に即した協力を得る手段
     となります。

   (4)銀行などの金融機関のため

     事業に融資しても融資額と金利を約定通りに返済してもらえる確実性を点検し
     ます。

   (5)ベンチャーキャピタルなどの投資家のため
     事業に出資しても期待以上の利回りで回収できる確実性を点検します。

  □事業計画の役割

   事業計画が「どのように利用されているのか」を把握することで、その「役割」を明
   らかにします。

   (1)経営者による事業判断

     経営者は、以下のような点検手順を通じて、事業計画を的確な事業判断に利用
     します。

      ①経営戦略を具体的に事業戦略に落し込む(ブレイクダウン)

      ②投資に値する事業であるのかを判断する(事業化判断)

      ③事業ごとの経営資源を最適にする。

      ④事業の存続か撤退かを判断する(継続可否判断)

   (2)事業推進者などの社員による遂行基準

     事業推進者は、承認された事業計画の範囲内で、その実現に向けて努力します。

     また、この基準により、他の社員は、どのような協力をすれば良いのかを確認す
     ることができる。

      ①推進組織をどうすれば良いか(推進組織構成基準)

      ②どこまで予算として承認されるか

      ③事業の目標はどのような水準であるのか(業績評価基準)

      ④他部門としてどのように協力すれば良いのか

      ⑤どのような数値になれば事業を打ち切れるか(継続可否判断)

   (3)提携先や協力業者の契約・取引判断基準

     提携先は、事業計画を策定した会社と契約を結ぶ際に、それが本当に契約すべ
     き事業内容であるのかどうかを点検します。

     同様に協力業者は、取引すべきかどうか、取引するとすればどのような取引条件
     が可能かを判断する参考にします。

      ①提携先が契約すべきか否かを決める(契約承認基準)

      ②協力業者は取引すべきか否かを決める(取引基準)

   (4)銀行など金融機関の融資判断

     銀行を中心とする金融機関は、事業計画の内容を精査したうえ、そこに記載され
     ている金額を融資するかどうかを決定します。

     この際、会社の信用度も合わせて判断します。

      ①事業計画が求めている設備投資に対して、融資すべきかどうかを決める
       (融資判断)

      ②事業計画が求めている運転資金に対して、融資すべきかどうかを決める
       (融資判断)

   (5)ベンチャーキャピタルなど投資家の出資判断

     ベンチャーキャピタルを中心とする投資家は、事業計画の内容を精査したうえ、
     必要な資金を出資すべきかどうかを決定します。

      ①事業計画に必要な資金を出資すべきかどうかを決める(出資判断)

      ②事業内容により非常勤取締役の派遣や専門家の紹介などの経営支援を決
       める

      ③出資金を回収する方法を決める参考とする

      ④出資契約の条項を具体的にする参考とする

  □事業計画の社外評価

   事業計画の収支計画および実績(達成度)は、社外の利害関係者によって厳しく点検・
   評価されます。

   その評価は、事業計画を策定した会社の資金調達や事業活動に大きな影響を与えます。

   従って、事業計画の策定にあたっては、このことを十分に認識したうえ、社外の利害関係
   者への配慮をしておく必要があります。

  □事業計画の全体像

   事業計画は、以下の6項目から構成されます。

   (1)事業戦略

     自社にとって事業を展開する意味と役割を明確にします。この際、単なる思いつ
     きではなく、経営理念と既存の市場・技術との関連づけを明示し、最もふさわし
     い推進組織と責任者を示します。

   (2)事業コンセプト 

     先行する競合企業群との差別化ができるコンセプトを案出し、実現性のある事
     業規模拡大のシナリオ(筋書き)を明確にします。

   (3)事業環境認識

     業界全体の仕組みと事業特性を具体的に解明し、市場規模とその構造的変化
     を踏まえた需要予測を行います。

     併せて、主要な競合他社の戦略と強み・弱みも分析します。

   (4)事業化のプラン

     独創的な事業の仕組み(ビジネスモデル)とその効果的展開方法を明示します。

     事業計画どおりに推進するために必要な成功要件を抽出し、事業展開にともな
     うリスクの種類とその対応策も明確にします。

   (5)事業採算性

     投資・売上・経費を算定した根拠となるもの(前提条件)を明示します。

     この先5〜7年間分の事業収支計画と資金計画を立案し、金融機関やベンチャー
     キャピタルなどの精査を受けても十分に説明できる数値とします。

   (6)その他

     企業の90%強は、事業継続の可否を決める時期とその基準を示していないと
     みられます。

     不採算事業の場合、これが損切りのタイミングを遅らせ、結果として累積赤字の
     増大を招いています。

     こうした不採算事業については、撤退する基準を明示し、既存の経営資源(人・
     資産・ノウハウなど)を今後どれだけ有効活用できるかも明確にします。

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