マスマーケティングからセグメントマーケティング


  ■マーケット(市場)の細分化
   市場の成熟化により、顧客の購買行動は多様化し、企業の商品販売方法も大きく
   変わっています。

   過去には、「作れば売れる」時代には、企業は大量生産された商品を市場全体(マス・
   マーケット)の顧客に向けて販売してきました。

   しかし、消費者ニーズが多様化し、個人が自分自身のライフスタイルを追求するようにな
   ると、画一的な商品を市場全体に売り込む従来型の販売方法は通用しにくくなりました。

   そこで、市場を同質のニーズを持ついくつかの集団に細分化し、個々の市場にあった
   売り方が必要になってきました。

   そのため、「売る相手を知る」ことが重要になってきたのです。

   この市場を同質のニーズを持ついくつかの集団に細分化することを、「市場細分化
   (マーケット・セグメンテーション)」といいます。

   市場の細分化によって、企業は、売り込む先を自社の製品・サービスを最も欲するであろ
   う特定の顧客に絞り込むことができます。

   つまり、「標的市場(ターゲット市場)」が選定できるのです。

    ターゲットマーケティング:細分化(セグメント)した市場から特定の顧客層を絞り
    込んで行うマーケティング

    (セグメントとは、年齢、地域、業種などの特定の属性、条件によって分類されたグループ)

   これにより、企業は自社のヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源を使って集中的に
   標的(ターゲット)とする顧客に売り込むことで、効率的により大きな成果が挙げられる
   ようになります。

  □市場細分化がなぜ必要か

   市場細分化は、企業がターゲットとする顧客の絞り込みを行うことといえます。

   1.経営資源の有効活用

     市場細分化を行うことで、中小企業のように限られた経営資源を有効に活用し、
     より効果的なマーケティングを行うため。

   2.顧客満足の向上

     市場細分化を行うことによって、顧客の満足をより的確に満たし、顧客ニーズに応
     えるため。

   3.競争上の優位性の確保

     市場細分化を行うことによって、競合他社と異なった市場、参入してこない市場を
     いち早く発見し、有利なマーケテイングを展開することによって、多くの利益を得る
     ため。

     さらに、市場を細分化することで、特定の顧客(ファン)の集約や自社独自の差
     別化により、マスコミから記事として取り上げられるプレスリリースの可能性が
     大きくなります。

  ■セグメントマーケティングとは

   大量生産された商品を市場全体(マス)の顧客に向けて販売する手法は、「マス・マー
   ケティング」といいます。

   一方、市場を細分化して絞り込み市場を選定する手法を「セグメントマーケティング」と
   いいます。

   マス・マーケティングが一つの商品(製品)を大量生産・大量流通・大量販売してあら
   ゆる買い手に販売しようとする方法であるのに対し、セグメントマーケティングは市場
   をいくつかに分け、そのうちの一つもしくは複数のターゲットに狙いを定め、集中的に
   経営資源を投入していきます。

   「弱者の戦略」の項にもあるように、その業界でNO1の企業以外(弱者)は、

    ・地域を限定してNO.1(オンリーワン)をつくる

    ・特化(○○限定、○○専用・専門)する

    ・戦線(商圏)を拡大しない

    ・品ぞろえを増やさない

    ・差別化という武器をつくる

   これらのことを肝に銘じておく必要があります。

   しかし、やってしまうのです。

   専門特化すべきなのにデパート化し、品揃えを豊富に、なんでも売ってしまうのです。

   その挙句に、価格競争に陥るといったパターンです。

   中小企業が大企業の真似をすれば結果は目に見えています。

   セグメントマーケティングには、「集中型マーケティング」「分化型マーケティング」の
   二つに分類することができます。

   1.セグメントマーケティング

     細分化された市場の中から一つまたは少数のセグメントに狙いを定めて、そこに
     集中的に経営資源を投入していくマーケティング手法です。

     これはニッチ企業がよく採用する戦略といえます。

   2.分化型マーケテイング

     細分化された市場のそれぞれのセグメントに対して、それぞれ異なる経営資源を
     投入していくマーケティング手法です。

     言葉からもわかるように、複数の商品があっても同じ市場で売らないことです。

     細分化するための基準例として、

     ・市場を年齢、性別、家族構成、ライフステージ、職業、所得、学歴などに基づいて
      区分する方法。

     ・市場を居住地域、就業従業地域、人口密度、気候などの異なる地理的単位で区
      分する方法。

     ・価値観、ライフスタイル、パーソナリティ(性格・個性)によって市場などによっ
      て区分する方法。

     ・購買頻度、使用目的、ロイヤルティー、特売反応などによって市場を区分する方法

    などがあります。
   
  □売上げ上昇を続ける理由

   この住宅メーカーは徹底してメインターゲットを絞っている。

   ○マーケット調査(お客様を知るための情報収集)

    進出する地域を決めるにあたっては、徹底した現地調査を行う。

    自転車のサイズ、アパートのベランダの洗濯物、公園で遊ぶ子ども達と見守る母親
    の年齢などをチェック。

   ○なぜ32歳なのか?(マーケットの絞込み)

    入社後10年経って、年収も安定してきて、子どももできて、という家族構成。

    マーケットは絞り込むほどあなたの顧客になる見込み度が高くなる。

   ○なぜ他社より高くても売れるのか(差別化)

    17棟すべて同じ間取りがない個性的な特徴を持っている(平均して2700万円、他社
    より500万円から1000万円ほど高いが、抽選までやるほどの大人気で、1時間で
    完売してしまった。

    32歳に絞って、彼らが好まれるような間取りとかセンスが生かされている。

    30分で400万円を売り上げるラジオショッピングの女王は、

     ・必ず買ってくれるお客様を大切に。不況は感じない。(One to one マーケティ
      ング)

     ・ラジオの現場では実際に商品を焼いて、食べる。(臨場感、シズル)

     ・大切にしているお客さんは、一人暮らしの高齢者など。(マーケットの絞込み)

     ・7割以上がリピーターだという。(顧客のアップセル、クロスセル)

     ・彼女は受注の電話がかかってきても、すぐには注文を受け付けない。(売込みを
      しない)

    まず、商品への意見、暮らしのスタイル、一人暮らし?等を聞くことで、次の商品
    づくりにつながるとのこと。(情報収集)
  
    こうしたアンケートの結果が、次の商品を作るのにつながるとのこと。

    
   この番組(ガイアの夜明け)から、「これは自分のビジネスではどのように使えるだろう
   か?」を、考えながら視聴することで、多数のヒントが得られるはずである。

  □マーケット志向

   市場細分化によるセグメントマーケティングは、販売先を特定の顧客層に絞り込むと
   いう意味で、マス・マーケティングと比べ、より「売る相手を知る」ことが求められる
   マーケティング手法といえます。

   さらに最近では、「一人ひとりの顧客を知る」「一人ひとりの顧客に焦点をあてる」マー
   ケティング手法である「ワン・トウ・ワン・マーケティング」が主流になってきていま
   す。

   ワン・トウ・ワン・マーケティングでは、企業と顧客との一対一の関係づくりが重視さ
   れ、各顧客のニーズに合った商品やサービスを提供し、顧客との長期的な関係づくり
   を目指します。

   ワン・トウ・ワン・マーケティングは、「カスタマー・リレーションシップ・マーケティ
   ング(CRM)」といわれたり、また、ロイヤルティーの高い優良顧客を重視すること
   から「ロイヤルティー・マーケティング」ともいわれたりします。

   マーケットは絞れば絞る(細分化)ほど、あなたが扱う商品を欲するお客様が見えてき
   ます。

   絞ることで見込み客が少なくなると考えがちですがそれは違います。

   あなたは万人に売ることを考えてはいけません。

   多くの営業会社が「商品ありき」からスタートしがちですが、「マーケットありき」から
   スタートすることを忘れないでください。
   
  □カスタマー・リレーション(顧客関係)のクオリティ

   あなたのビジネスで最も価値のある資産が何であるかが分かっていますか?

   商品ですか?
   スタッフですか?
   自前の事務所や設備ですか?
   
   最も価値のある資産が抜け落ちています。

      そう、「顧客」です。

   顧客に価値を置いている数少ない業界の1つにメールオーダー業界(通販業界)があ
   ります。

   おそらく他業種の企業よりもずっと顧客に気を遣っています。

   なぜならメールオーダー企業は一人の顧客を獲得するためにかかる総コストを厳密に把
   握しており、顧客を資産として扱っているからです。

   したがって顧客を失うことは、バランスシートも損益計算書も消滅することを意味しま
   す。

   ある通販会社のトップは、「私の会社から設備が盗まれても、スタッフが引き抜かれて
   も構いませんが、顧客は残しておいてもらわないと困ります。」

   「顧客がいれば、取られたものすべてを半年で奪い返すことができます。」

   顧客の獲得には多額の費用がかかっています。

   顧客の獲得にかかる総コストと、最初の取引で得られた利益とを比べれば、初回取引では
   ほとんどの企業が損しています。

   こう考えてみてください。

   あなたの会社は一人ひとりの顧客に投資しているのだと。

   その投資から最大のリターンを得られるだけ長く顧客を維持するには、「The Top of the
   Consciousness Principle (一番に意識されるための法則)」と呼ばれるマーケティン
   グコンセプトが鍵となります。

   これをあなたの会社の強みにできるかどうかは、ダイレクトマーケティングにかかって
   います。

   ダイレクトマーケティング(DM)とは、

   アメリカのDM協会の定義では、「一種類又はそれ以上の広告媒体を使用して、レス
   ポンスや取引きをもたらす双方向性のあるマーケティング・システムです。

   レスポンスや取引きは発生する場所を問わず、計測可能でデータベースに蓄積される
   ものとする」となっている。

   我々を含め、業種業態に関わらず、収益を上げていくには、

    1)見込み客を集め、新規顧客として獲得し客数を増やす

    2)既存客への他種目販売を増やす

    3)既存客の顧客単価を増やす

   以上の3点を継続実行していかなければならない。 

   この中でもいちばんコストのかかるのが1)の客数を増やすことである。

   しかし、2)、3)だけに力を入れただけでは限界があります。

   これらのマーケティング活動のコストを最小に抑え、効果を上げていかなければなら
   ない。

   ダイレクトマーケティング(DM)を継続して実践していくうえでの手法が、電話、
   ファックス、DM(ダイレクトメール:封書、ハガキ)、ニュースレター、Eメールと
   いったパーソナルコミュニケーション媒体を使い、コミュニケーション内容も相手に 
   合わせ変化させる。

   そして、各手法を単独で活用するだけではなく、ファックス・マーケティング+テレマー
   ケティング、ダイレクトメール+テレマーケティングといったようにミックスすること
   で、より効果が増します。

   「一番に意識される」は重要なことです。

   特に中小企業にとっては。

   「金ない、人ない、モノない」の三重苦の中で売上アップを図るには、他と同じこと、
   過去の延長線上でやっていてはいつまでたっても儲けることはできず、赤字の垂れ流
   し状態を続けるだけです。

   「知恵を働かせる」ことが中小企業の強みです。

   小さな会社であっても強み(USP)はあるはずです。

   なければつくることです。

   「選択と集中」といわれるように、その強みをあなたを必要としているニッチマー 
   ケットに集中させることです。

   また、自社だけではなく異業とアライアンスを組むことで、あなたの強みを倍加させる
   ことも可能です。

   ここで大切なのは商品というモノを売る発想をしないことです。

   モノではなく、コト発想

   あなたの「売り(強み)」は何か?

   それをストーリーにすること。

   このストーリーこそがあなたの商品です。

   そして、大企業のように大金をかけて広告宣伝できない弱点はHP、メルマガ、マスコミに
   無料で宣伝してもらうプレスリリースを試みましょう。   

   とにかく、小予算でできることを実践することが重要なのです。

   今までどおりのやり方で事業が好転するならいいでしょう。

   しかし、そうはいかないことはあなた自身が一番分かっているはずです。

   それでは、いつから行動を起こします?

   商品のクオリティ、サービスのクオリティ、業務におけるクオリティなどといった言葉
   が、頻繁に、熱意を持って語られています。

   しかし、最も重要なのは、カスタマー・リレーション(顧客関係)のクオリティです。

   あなたのビジネスが自社の扱う商品やサービスで、できているものと思っていないで
   しょうか?

   大多数の会社が自身のビジネスが、顧客や顧客サービスであることを忘れているのです。

   ある雑誌の調査では、平均的な満足している顧客は、満足したという経験を、たった3人
   の人にしか話さないが、不満を持った顧客は、平均で11人に、そのことを伝えるといい
   ます。

   悪いニュース、否定的な情報は、良いニュースより早く、遠くまで広まるのです。

   「不満を抱いた顧客の98%は、購入した商品やサービスのクオリティに不満を持った
   わけでは無い」ということです。

   98%の人々の不満は、あなたの彼ら(お客様)に対する対応を、彼らがどのように受け取
   ったかに関わっていたのです。

   お客様は、「自分がどう扱われたのか」ではなく、彼らに対する「扱いを彼らがどの
   ように受け取ったか」に関わっているということに注意して下さい。

   このことは、極めて重要です。

   つまり、顧客が不満を感じたほとんどのケースで、従業員はその顧客に対して、きちん
   とした対応をしていたと思われるのです。

   従業員は、できる限りのことをしていたのです。

   しかし、従業員の対応がどうだったかは問題では無いのです。

   顧客がどう受け取ったかが問題なのです。


   あなたが顧客を失う最大の原因は、あなた(会社)の従業員の対応が、無礼あるいは不当
   なものであったと、顧客が受け取ったことによるものです。

   顧客が電話をかけてきた時、来店した時、あるいは、取引をした時には、常に顧客がその
   対応に満足するよう、あなたは、できる限りのことをしなければならないのです。

   あなたの顧客へのアクションは、感謝を与えることにフォーカスする必要があります。

   迅速なお礼状、もしくは、お礼の電話は、最低限のことです。

   即座にしておくべきでしょう。

   エクセレント・カンパニー:トム・ピーターズ(著)は、顧客関係の重要性について
   書かれており、あなたのビジネスに役立つ内容だと思います。

  「ターゲットマーケティングについてはこちらの記事で詳しく解説されています。
 あわせてご確認ください。

  販売戦略を考える際に欠かせないターゲットマーケティングとは? | アクシグ



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