社内文書の保存・保管管理


  企業活動を行っていくうえではさまざまな文書が発生し、これらを保存・保管していく
  必要があります。

  これまでは紙の書類としてそのままファイリングを行い、キャビネット、書架、書庫などを
  利用して保存・保管ができていました。

  しかし、ISOの取得により各種の文書を保存する義務が生じているほか、PL法への対応のための
  文書、CS(顧客満足度)向上のためのデータ保管など、文書の保存や保管のニーズは非常に高く
  なっています。

  「保存」と「保管」は同じような意味で使われますが、一般には次のような違いがあります。

  文書についていえば、ダンボール箱などに入れて倉庫に放り込んでおくのは「保存」であり、
  特定の文書を探そうとすると、ホコリにまみれながら肉体労働をする羽目になります。

  これに対して利用することを前提に、文書棚などに整理して保存しておくのが「保管」で、必要に 
  応じて簡単に文書が取り出せるように配慮されています。

  なお、「電子帳簿保存法」(正式名称:「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存 
  方法等の特例に関する法律」)が98年に制定され、これにより所得税法、法人税法で7年間保存する 
  ように義務付けられている帳簿書類の電子保存が認められています。

  国税庁の査察で、帳簿などを提出するように指示されなければ通常は使用する必要は
  なく、まさに「保存」することだけが必要です。

  文書の保存期間 

   文書の保存期間をどうするかは、個々の企業の考え方や事情によっても異なります。

   保存期間が法律で定められている文書については、法律の規定に従えば問題ありま
   せん。

   文書の保存を義務付ける主な法律は以下の通りです。

    <税務関係>

     法人税法、消費税法など

    <人事・労務関係>

     労働基準法、労働安全衛生法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、雇用
     保険徴収法、労働者災害補償保険法など

    <総務・庶務関係>

     商法、商法特例法、証券取引法、産業廃棄物処理法など

   保存文書は一般に「永久」「10年」「7年」「3年」などの保存期間で保存されている
   ものが多いようです。

   現在、会社法、金融商品取引法、法人税法などの各種法令への対応をはじめ、ISO
   認証取得に関わる各種文書の保存義務、契約関係書類や社内通達など、企業が
   保存しなければならない文書は増加するばかりです。

   こうしたことから、社内で文書の保存、管理に必要な基準を定め、効率的な運営を
   図る必要があります。 


  □効率的な文書管理

   文書の保存年限を決めることは、文書管理の一つの方法でしかありません。

   より効率的な文書管理を行うためには、さらに文書の整理・保管方法を含めた全体的な
   仕組みを作って、これを運用していくことが必要になります。

    1)文書管理のルールを明確にする

     社内における文書管理の統一的なルールを取り決めます。

     文書をどのように分類し、どのような形で保管するのかなど、文書管理の全体的な
     仕組みを作ります。

     そして、これを「文書管理規程」として明文化しておくようにします。

    2)文書管理の責任者を決める

     「文書管理規程」を決めた後、実際に運用する体制を作るのですが、ルールの監
     視役としての責任者を明確にすることが大切です。

     一般的には、文書管理は総務部門の担当業務になっているので、総務部長が適
     任でしょう。
 
    3)文書整理の際の分類基準を決める

     整理とは、一定の基準のもとに分類し、必要なときにすぐに取り出せる状況にして
     おくことをいいます。

     いかに分かりやすく文書を整理しておくかが重要なポイントです。

     普通は文書の内容によって契約関係文書、会議関係文書などと区分けしておき
     ますが、さらに細かく分類するときは、契約の種類ごと、会議の種類ごとに分類し
     ます。

     なお、書庫などで一括して保管する場合は、文書の内容だけでなく、保存年限別に
     分類しておいてもよいでしょう。

    4)電子媒体による保存

     文書というと、通常は紙の状態を連想しますが、最近ではCDやMOなどの電子媒
     体で保存するケースが多くなっています。

     紙に比べて問題にならないくらい保存スペースが少なくてすむからです。

     官庁への届出書類など法定文書でも、電子媒体での保存が認められる方向にな
     ってきており、文書保存についてはできる限り電子媒体の活用を考えるべきでし
     ょう。

     しかし、電子媒体での保存には問題もあります。

     電子情報として保存しているので、文書内容を見たり実際に使用する場合には、
     ディスプレイに表示したり、プリントアウトしなければなりません。

     また、保存状態が悪かったり、操作ミスなどによってデータが消えてしまう可能性も
     あります。

     さらに注意を要するのは、内容の改ざんが簡単にできてしまうことです。

     従って、電子媒体を利用する際には、保存状態や保安面での管理を徹底するこ
     とが何よりも大切です。

  □重要書類の保管

   経理や総務には、会計関係の帳簿や手形、現金、社員台帳、人事調書など重要な書類が集中して
   いるため、それら重要書類の保管と緊急時持ち出しには明確なルールを作っておく必要がありま
   す。

   重要書類については、

    ・特定の場所に整理・保管

    ・緊急時持ち出し責任者が指揮をとる

    ・担当者が持ち出す

   そして、緊急時の持ち出し書類については、責任者や担当者だけでなく、他の社員も保管場所や 
   持ち出し方法についての知識を持っておくようにします。

   また、机上にだらしなく文書などを放り出しておくのは、危険であるばかりでなく、分類やタイ
   トルづけが適正でないと、いざという時に重要度の判定ができないことになります。

   書類に限らず、フィルムやディスクについても同様です。

   <チェックポイント>

    (1)会計帳簿や契約書、社員台帳などの重要書類は整理、保管されているか

    (2)現金、小切手、手形、債券、株券は耐火金庫に保管されているか

    (3)重要書類などの緊急持ち出しはルール化されているか


  □コンピューター・システムの防災

   コンピューター・システムの防災には費用がかかるので、特別な対策をとっていない企業
   が多いようです。

   しかし、近年のコンピューター利用範囲の拡大ぶりを考えれば、コンピューターがスト
   ップする事態に陥った場合のダメージは計りしれません。

   手作業で業務を処理しなければならなくなって業務効率が大幅にダウンしたり、在庫が
   把握できないために受注・出荷がスムーズに行かないなどの弊害が予想されます。

   被災のどのレベルにも有効で、悔いを残さない方法はたったひとつしかありません。

   それは、非常時持ち出し的な重要文書に関して、一元管理はやめて、コピー(バック
   アップ用のメディア)または、原本(オリジナル)のどちらかを遠隔地に置き、二元管理
   体制を敷いておく方法です。

   これは、同一災害が同時に2カ所を襲わないという仮定に基づく考え方によります。

   そして、分散するコピーの保護は、できるだけ離れた地点で行われるべきでしょう。

   <チェックポイント>

    (1)データのコピーを取っているか

    (2)ソフトウェアのコピーを取っているか

    (3)コンピューター処理の分散化が図られているか

    (4)故障・損傷に対するコンピューター・メーカーの支援体制はできているか

    (5)コンピューター・ルームの耐震性・防水性・防火性は確保されているか

   中小企業では大企業に比べて機能分散による危機回避策はとりにくい面があります
   が、被災すれば企業存続の危機に瀕する可能性が高いともいえます。

   企業における危機はさまざまありますが、契約書などの重要文書や、コンピュータ
   システムにおけるデータやプログラムをどのように災害から守っていくかです。

   これからの災害対策は経営トップが情報システムとその保護の重要性を認識し、投資を
   認めるかどうかにかかっており、ささいな対策でも、経営トップが危機管理意識を持って
   実行することが重要で、災害を避けるために、また、もし被災したとしても早急に復旧
   できるような体制を企業内に作り上げることが経営トップの責任になります。

   被災時に復旧させるシステムの優先度を決めるにもトップの強力なイニシアチブは
   必要です。 

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