経営理念と経営戦略は経営の羅針盤


  多くの企業では、売上計画や利益計画等の経営計画を立てています。

  しかし、今日の激変する時代にあっては、経営計画を立てても、なかなかそのとおりには
  進みません。

  経営計画どおりに進まない外部の変動要因が大きすぎるからです。

  そこで、まず、「3年から5年後のわが社の展望」を「ビジョン」として描くことが大切
  です。

  その場合、「ビジョン」策定の前提となるのが「経営理念」です。

  なぜなら、「経営理念」は、企業経営の羅針盤となるものだからです。

  いいかえれば、「経営理念」を明確にした企業だけが、どんなに環境変化が激しくとも、
  確固とした経営方針を堅持し、確実に企業経営を維持、発展させることができるのです。

  そこで、今日の経営環境下で活力ある企業に不可欠となっている「経営理念」、
  「ビジョン」、そして「経営戦略」の策定手順について考えてみましょう。
   
  ■経営理念と経営戦略

   経営理念は企業の心棒であり、社会・顧客・従業員との関わりを通じた企業の存在意義
   を内外に示すものです。

   経営理念には経営者の強い思いが込められていて、通常は普遍的な内容としてまとめ  
   られます。

   一方、経営戦略とは、経営理念で示した自社の理想的な姿と、現状のギャップを埋める
   ために必要な取り組みを行うものです。

   つまり、経営理念がしっかりとしていなければ企業の理想と現実のギャップを正しく認識
   できないため、効果的な経営戦略も策定できないことになってしまいます。
   
  ■経営理念

   経営理念は、各社各様にさまざまな形で策定されており、定型的なものが存在するわけ
   ではありませんが、経営理念(自社の存在意義、経営姿勢、自社に課された社会的責任
   等を内外に示すもの)は、企業活動を展開するためには不可欠なものです。

   継続的に事業活動を行い存在し続ける企業体(ゴーイング・コンサーン)であることを
   前提として、自社の存在意義と目的すなわち社会的責任(社会的使命)を社内外に示
   すためのものです。

   つまり、「わが社は社会的にどんな役割を果たしているのか、どんな点で社会になく
   てはならないのか」を文章で表したものです。

   経営理念は、自社の存在意義や社会的責任と経営姿勢などを示したものであり、企業活動
   の羅針盤となるものですが、これをより具体化して、未来の夢や願望を青写真化することが
   大切です。
   
  □経営計画書作成に欠かせない理念

   経営者は、何らかの目的や信条をもって企業を経営しています。

   何代も続く老舗には、先代の時代から脈々と受け継がれる家訓があります。

   一般的に、このようなものを経営理念と呼びます。

   つまり、経営理念とは企業活動の精神的な基盤となるものです。

   企業は、利益を追求するために経営目標を立て、それを達成するための経営方針
   計画を策定します。

   それらのベースとなるのが経営理念なのです。

   しかし中小企業の場合、経営理念が文章となって従業員に示されていることはあまり
   ない。

   これではいかに優れた経営理念を持っていても、それを従業員と共有することができ
   ていません。

   中小企業にとって厳しい経営環境が続く中、経営者と従業員が共通の理解の下で団結
   することの重要性がますます高まっています。


   そうすることで、経営者の掲げる経営理念が企業の隅々にまで浸透し、独自の企業文化
   が形成されていきます。

   また、従業員が何らかのトラブルに直面した際も、経営理念が周知されていれば、
   それに基づいた対処ができます。

   経営理念を文章化して社内外へ公表する際には、従業員や取引先、顧客が理解しや
   すいように、分かりやすく表現します。

    ・自社の存在意義・使命は何か

    ・社会に提供する商品・サービスは何か


   経営計画作りの最初にくるものが経営理念です。

   (参考)経営計画の策定手順 

        ビジョン 

    理念 → ビジョン → 行動指針 
      ↓
    方針・目標
      ↓
    機会・脅威と強み弱み(SWOT)の分析(サンプル事例
      ↓
    目標とギャップ分析
      ↓
    経営戦略の構築
      ↓
    中期(3年)・年度経営計画の策定


   理念は経営の羅針盤となるもので、継続的に事業活動を行い存在し続ける企業体
   (ゴーイング・コンサーン)であることを前提に、自社の存在意義と目的(社会的責任)
   を社内外に示すためのものです。

   「わが社は社会的にどんな役割を果たしているのか、どんな点で社会になくてはなら
   ないのか」を文章で表したものが理念です。

   中小企業経営者の中には「理念で飯が食えるか」といった声も聞こえてきます。

   組織を単なる個人の集合体と考え、ジンザイを人材と捉え、「儲ければいい」だけの考
   えであれば理念もビジョンも必要ないでしょう。

   会社を我が子のように育ててきた社長にとって、会社が単なる儲けのためだけの場で
   はないはずです。

   「事業は人なり」の言葉にあるように、人材を人財に育てることが社長・管理職に
   課せられた責務です。

   会社経営をしていく中で、全社員が発生する様々な困難に一体となって立ち向かうため
   にも理念、ビジョンは欠かすことのできない「錦の御旗」なのです。
   
  □経営理念の策定

   1.基本理念の策定手順

     基本理念とは、自社(経営)理念の核となるもので、継続的に事業活動を行い存在
     し続ける自社体(ゴーイング・コンサーン)であることを前提として、自社の存在意
     義と目的すなわち社会的責任(社会的使命)を社内外に示すためのものです。

     つまり、「わが社は社会的にどんな役割を果たしているのか、どんな点で社会にな
     くてはならないのか」を文章で表したものが基本理念です。

      (1)シートへの書き出し

        自社の存在意義や目的、また社会的な責任について書き出してみましょう。

        これは、あくまでも下準備ですので、メモ書きで構いません。

        思いつくまま、どんどん書き出してみて下さい。

      (2)キーワードのピックアップ

        次に、シートに書き出したものの中からキーワードをピックアップします。

        例えば、「自然環境」、「喜び」、「安心と安全」など、自社の社会的な使命
        (ミッション)とはこれだというキーワードを選び出します。

        この段階では、数にこだわる必要はありません。「これこそがわが社を表現す
        る絶対唯一のキーワード」と思われるものがあれば一つだけでも構いません
        し、5個でも10個でもOKです。

        一般的には3〜5個に絞り込んでおくと、次の作業(基本理念の成文化)の
        際に便利でしょう。

      (3)基本理念の成文化とCPSの原則

        「自然環境に優しく、人々に喜びを与える企業を目指します」などのよう
        に、ピックアップしたキーワードのうち特に重要なものを選択・整理し、文
        章化します。

        最初はなんとなく照れ臭いような、恥ずかしいような気持ちになるかもしれま
        せんが、ここでは、思い切って大胆な文章にしてみましょう。

        また、できれば2〜3案作成し、幹部の人たちの意見を出してもらうようにして
        もよいでしょう。

        基本理念成文化の際のポイントは、

         C(Creative=独創的)

         P(Powerful=力強さ)

         S(Simple=簡潔)

        な表現、つまり、CPS三原則を心がけることです。

   2.行動理念の策定手順

     行動理念とは、企業の経営姿勢、企業としての行動基準、すなわち、事業活動に
     あたっての価値基準のことをいいます。

     具体的には、「経営革新への取り組み姿勢」のほか、事業、顧客、商品(サー
     ビス)、さらには社員に対する取り組み姿勢などを表したものです。

     それぞれの項目について経営者の“思い”を書き出してみます。

      基本理念策定シート

       ・わが社の存在意義、存在目的

       ・わが社の社会的責任

      行動理念策定シート

       ・経営革新への取組み姿勢

       ・事業への取組み姿勢

       ・顧客(取引先)への取組み姿勢

       ・商品(サービス)への取組み姿勢

       ・社員への取組み姿勢
   
  ■経営戦略

   戦略または企業戦略という言葉はさまざまな場面で使われている。

   これらの戦略という言葉は、明確な定義がないまま使用されていることが多いよう
   です。

   元来戦略とは軍事用語で、相手をどうやったら打ち負かすことができるかという、
   総合的・全体的な、大所高所からの策を指しています。

   こうして考えると、企業における経営戦略とは、全体的・大局的立場から企業が所
   属する経営環境の方向性を見定め、他企業と競争し、勝ち抜いていくための方法
   を指すことになります。

   ここでは経営戦略を次のように定義ています。

   経営戦略の定義

    (1)基本的意義:経営理念に基づき経営活動の基本的な方向づけを行なうこと

    (2)具体的内容:・経営環境(外部環境)の変化に対応する

               ・自社が成長するための基盤となる事業分野を選択する

               ・その事業分野における競争上の健位性を確立する

               ・経営資源の有効配分を行なう

   日本の経済が成熟して企業間競争はますます激しくなり、さらに顧客のニーズも
   多様化・高度化しています。

   こうした経営環境の変化に対応し他社との競争優位を確保するには、優れた経
   営戦略が必要です。

   また、中小企業に目を向けると、従来日本の産業構造の特徴であった大企業を
   頂点とする下請け分業構造が崩れています。

   大企業が取引企業を選別する一方で、中小企業は海外進出や新たな取引先の
   開拓などをしています。

   このようなとき、自社が成長するための基盤となる事業分野の選択や経営資源の
   有効配分を進めるうえで、新しい経営戦略の策定が必要になってくる。

   そこで、中小企業に求められる経営戦略の方向性を探り、具体的な策定ステップ
   をご紹介します。

  □中小企業の経営戦略の方向性

   経営戦略とは、ビジョンとそれを具体化した営計画を実現するための方策、
   取り、手立てのことです。

   経営戦略というともっぱら大企業のものと考える人もいるようです。

   しかし、経営環境がますます厳しくなるなか、中小企業も生き残りを賭けた対応が
   迫られている。 

   ここでは、中小企業の現状を明らかにし、具体的な戦略の方向性を示していきま
   す。

    1.中小企業を取り巻く経営環境

      戦略を検討するには、自社のおかれている現状を分析する必要があります。

      中小企業を中心とした経営環境の変化と中小企業の特徴を、SWOT分析 
      (強み・弱み/機会・脅威の分析)によって整理すると次のようになります。

       (1)中小企業を取り巻く環境に「機会・脅威」

         <機 会>

          ・顧客ニーズの多様化が進み、市場ではさまざまなミニマーケットが
           できている。

          ・規制緩和や情報化の進展で新しい市場が芽生えている。

          ・従来の企業系列が崩れ、中小企業の間でも新しい企業提携の
           可能性が生まれている。

          ・ベンチャー企業の成長が期待されるなか、公的機関や民間から
           の資金調達や経営情報の提供など各種支援体制が整備されて
           いる。

         <脅 威>

          ・世界的レベルでの大競争時代を迎え、企業間競争が激化している。

          ・日本経済が成熟期を迎え、鉄鋼、自動車、家電など、かつての
           リーディング産業の大きな成長が見込めなくなっている。

          ・大企業を頂点にした下請け分業構造が崩れ、取引の減少や中止
           を迫られる下請け企業が増加している。

       (2)中小企業の「強み・弱み」

         <強 み>

          ・既成概念にとらわれずに、大企業に真似のできない独創性・個性
           を発揮しやすい。

          ・トップの強力なリーダーシップや迅速な意思決定により、経営の
           スピードが速い。

          ・組織が小さいことから環境変化に対する柔軟性・機動性が高い。

         <弱 み>

          ・中小企業の場合、創業経営者などによる個人的色彩が強く、
           経営が過去の経験や独断に基づいて行なわれることがある。

          ・大企業に比べ信用度が小さいことから、資金調達や取引において
           不利な面がある。

          ・人材や財務面など経営資源が乏しく、経営基盤が弱い場合が多い。

    2.求められる中小企業の経営戦略

      経営環境の変化でとくに注目されるところは、市場の成熟による顧客ニーズ
      の多様化・高度化に伴い、ミニマーケットあるいはニッチ(すき間)マーケット
      が顕在化していることです。

      しかも、これらの市場は流動的に変化し、さらに、そのスピードも速いものに
      なっています。

      したがって、これからの企業には、つねに変化する顧客ニーズに迅速に対応
      できる能力と自社独自の商品・サービスを提供できる能力とが求められてい
      ます。

      これらの動きは中小企業の強みとする機動性と独創性に合致しています
      が、一方で中小企業の弱みである乏しい経営資源を補完していかねばなり
      ません。

      そこで、中小企業の経営戦略の方向性のひとつとして、

       ・独創的事業を創出できる自社固有の技術やスキルを醸成する

       ・外部との連携を通じて自社の中核部分以外の経営資源を補完する

      ということが考えられます。

      こうしたことから、中小企業のとるべき基本的戦略は、専門化戦略と外部連
      携化戦略の2つに絞り込むことができます。

              
      (1)専門化戦略:コアコンピタンスの確立

        中小企業の基本戦略のひとつ目は専門化です。

        専門化とは、顧客に提供する製品やサービスの独自性を強めること。

        ミニ(ニッチ)マーケットが乱立する市場は、専門家、すなわち多くの「オン
        リーワン企業」を容認するものであって、企業の棲み分けを可能にしてい
        ます。

        そして、この市場を狙った戦略が専門化戦略です。

        ニッチ市場でオンリーワンの地位を築けば、必然的に競争は回避され他
        企業に対し優位性を確保できます。

        この実現は、自社特有の製品・サービスを創出する力が必要です。

        ところで、企業に蓄積できる能力には限界があるため、どの領域で専門
        化していくのかを明らかにする必要がある。

        これはコア・コンピタンス(中核的な能力・知識の塊)の確立を意味してい
        ます。

        コア・コンピタンスは「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならで
        はの価値を提供する企業の中核的な力」であり、個別のスキルや技術で
        はなくそれらを束ねた全体であり、組織における集団的な学習能力であ
        るといえる。

        中小企業においては、自社におけるコア・コンピタンスを確立し、専門化
        戦略をとることが大企業以上に求められています。

      (2)外部との連携化戦略:アウトソーシングによる外部資源の有効活用

        市場の変化や技術の革新が著しいと、中小企業の経営資渡だけで戦略
        的な対応をするには限界がある。

        専門化を進めながら、外部との連携化戦略を展開することこそ中小企業
        の取るべき戦略のひとつであるといえます。

        これは、自社の中核となる機能に経営資源を集中させる一方で、それ以
        外の部分はアウトソーシング(外部化)を行ない、経営資源の補完性を高
        めることを意味する。

        具体的には、

         ・他社との事業提携を行なう

         ・情報技術を利用したネットワークにより企業の情報化を推進する

         ・大学、研究機関と連携する

         ・民間の各種サービスに外部委託する

        などが考えられます。

        こうしたことは、従来の日本企業の系列に見られたような長期的・安定的
        な取引関係ではなく、「最適なタイミング」「最適な場所」「最適なコスト」
        による自由な取引関係です。

        あるいは、情報ネットワークなどを利用して企業との緩やかな結びつき、
        すなわち戦略的提携を進めていこうとするものです。

        以上をまとめると、

         外部連携化戦略は、中小企業の経営資源を補完すると同時に、企業
         連携(ネットワーク)を有機的に組み合わせ、環境変化に適応できる
         組織の機動性をより一層高めることを目指すものである

        といえます。

  □経営戦略策定のステップ

   ここまでは、中小企業に求められる経営戦略の方向性を探ってきました。

   その基本は、専門化戦略と外部との連携化戦略でした。

   しかし、これらは自社の現状に適合した経営戦略の策定ステップを踏んで、具体
   的な個別戦略に落とし込んでいかねばなりません。

   では、具体的にどのようなステップで、経営戦略を策定していけばよいのか。

   ここでは一般的な経営戦略策定ステップに沿って基本手順を明らかにします。

    1.経営理念の確立

      経営戦略の前提として、企業の文化・風土を見定めるとともに長期的な企業
      の方向性を決定します。

      経営戦略が手段的、機能的なものであるのに対して、経営理念は「企業が
      事業を通じて社会に対して何をしたいのか」「どういう価値観や規範に基づい
      て事業を行なおうとしているのか」を示すものです。

      中小企業経営者の中には「理念で飯が食えるか」といった声もあるようだ。

      組織を単なる個人の集合体と考え、ジンザイを人材と捉え、「儲ければいい」
      だけの考えであれば理念もビジョンも必要ないでしょう。

      会社を我が子のように育ててきた社長にとって、会社が単なる儲けのためだ
      けの場ではないはずです。

      会社経営をしていく中で、発生する様々な困難に全社員が一体となって立ち
      向かうためにも理念、ビジョンは欠かすことのできない「錦の御旗」なのです。

    2.経営環境の把握と分析

      (1)外部環境と内部環境

        経営活動に影響を及ぼす要素を洗い出し、自社のおかれている現状や
        今後の経営の方向性を分析します。

        経営環境は、おもに次の2つに分類できます。

         外部環境:企業の外から影響を受ける環境要素で、政治・経済環境、
                技術動向、市場動向、競争相手の動向などがある

         内部環境:企業の内に存在している環境要素で、生産力、財務力、
                人材、マーケティング力、組織風土などがある
       
      (2)SWOT分析

         内外の環境と自社経営に及ぼすであろう事項から強み、弱み、機会、
         脅威を明確化します。

         この分析から、自社の強みを活かし、事業機会を捉えるような戦略を
         抽出します。

    3.経営者の意思・社員の夢と現状との
      ギャップ分析

      経営理念が自社の将来のあるべき姿を
      象徴しているとしたら、自社の現状との
      間にギャップがあって当然であり、その
      ギャップを埋める作業が具体的な戦略の策定となります。

      この段階では、ギャップを自社における経営上の問題点として明確にしてお
      きます。
      
    4.事業ドメインの確立

      事業ドメインは自社が本業として行なう事業分野のことで、経営理念に基づ
      き自社の強みを発揮しうる事業領域を意味します。

      経営環境の変化が激しいときは、これに応じ事業分野も変化し、事業ドメイ
      ンである本業の再構築も不可欠となる。

      上記で取り上げたコア・コンピタンスは、この事業ドメインを創出する企業の
      源泉となるものです。

    5.戦略代替案の作成と選択

      明らかになった経営上の問題点をクリアする経営戦略の具体案(代替案)を
      複数作成します。

      この中から一定の評価のもとで合理性のある最適な経営戦略を選択する。

    6.経営資源の配分

      一般的に企業の経営資源は、ヒト・モノ・カネ・情報といわれます。

      あらゆる企業にとってこれら経営資源は限られたものであり、経営戦略に基
      づいてこれを最適に配分し最大の効果を得ることが重要です。

      具体的には、事業組織の組み替え、事業の資金配分などがあげられる。

  □中小企業の戦略技法と戦略策定視点

   経常戦略を策定するとき、有効な戦略技法を活用していくことがポイントです。

   ここでは、代表的な戦略技法の概要を説明するとともに、それぞれにおいて、中
   小企業にとっての経営戦略策定上の視点を記述します。

    1.成長戦略

      企業の事業額域を拡大していくためには成長戦略が基本になります。

      そのとき「市場−製品」の組み合わせで、自社の成長の方向性を決定してい
      くことかできます。

       (1)市場浸透戦略

         現在の「市場−製品」に対して、販売戦略などで市場占有率の増大を
         目指し、成長の方向性を見出す戦略です。

       (2)市場開発戦略

         現在ある製品を、新しい使い方などを探ることによって、新しい市場
         に 投入する戦略です。

       (3)製品開発戦略

         既存の市場に対して新製品を開発し、新たな需要を喚起する戦略。

       (4)多角化戦略

         市場−製品の両面でまったく異なった分野に進出する戦略です。

      企業の成長は、この4つのいずれかの基本的枠組みの戦略によって実現し
      ます。

      成長の方向性を考えるとき、既存の経営資源(販売、生産、技術、経営管理
      など)のシナジー(相乗)効果測定を行ないます。

      たとえば、多角化戦略において、市場と製品が新しくても、流通や技術の共
      通性がある場合は戦略としては有効性が高いものになります。

      とくに中小企業が成長戦略で事業拡大していくには、シナジー効果を最大限
      に考えた戦略策定が望まれます。

    2.競争戦略(ポーター 3つの競争戦略)

      経営戦略の大きな目的のひとつとして、競合他社との競争優位を確保するこ
      とがあげられます。

      競争優位の源泉となる競争戦略は、次の3つに類型できます。

       (1)コスト・リーダーシップ戦略

         業界全体の広い市場をターゲットに他社のどこよりも低いコストで
         評判を取り、競争に勝つ戦略です。

       (2)差別化戦略

         製品品質、品揃え、流通チャネル、メンテナンスサービスなどの
         違いを業界内の多くの顧客に認めてもらい、競争相手より優位に
         立つ戦略です。

       (3)集中化戦略

         特定市場に的を絞り、ヒト・モノ・カネの資源を集中的に投入して
         競争に勝つ戦略です。

         これは、さらに2つの戦略に分類できます。

          ①コスト集中で、特定の市場でコスト優位性に立つことで競争に
           勝つ戦略。

          ②差別化集中で、特定の市場で差別化することで優位に立ち、
           競争に勝つ戦略。

   中小企業の場合、競争戦略の柱は専門化を志向した集中化戦略になりますが、
   業界・業種によっては、集中化戦略を取りにくい特性を有する分野もあるでしょう。

   経営者は自社の経営資源と業界特性を考慮し、競争戦略を策定していく必要が
   あります。 

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