新人と中途採用者の研修、教育の方法

          

新人と中途採用者の育成

  中小企業にとって人材の採用は大企業のそれと違って重要な経営課題となります。

  採用した人材を即戦力として活かしていかなければなりません。

  しかし、新人や中途採用者への教育、研修が正しく行われていなかったり、不足している
  企業が少なくありません。

  中小企業においては新人、中途者の採用は採用計画にのっとり、募集・採用から育成
  ・教育までのプロセス)を標準化させることです。

  せっかく採用した新人、中途採用者の正しい研修や教育、フォローにより即戦力として
  活かすためにはどうしたらよいかを考えて見ましょう。
   
  ■新人を生かすも殺すも育成次第

    新入社員は企業の将来を担う大切な人材であり、さまざまな研修カリキュラムを企画
   して、新入社員の教育・キャリア形成に力を入れようとしている企業は多いことでしょ
   う。

   入社初期の社員の職業能力を形成していく中での問題として、「指示されたことはでき
   るが、自ら考え行動することができない」「新しいことにチャレンジする意欲が低い」
   「社会人としての基本的な常識やマナーが身についていない」と感じている企業は
   少なくありません。

   これらの問題は新入社員研修などを通じて解決していくべき課題といえます。

   
  □まず初めに教えること

   新入社員が、一人前のビジネスマンとして業務を遂行していくために必要な知識や
   見識は非常に膨大なものであり、入社後半年や、1年の新入社員にすべてをマスター
   させることは不可能です。

   したがって、最初に必要なのは、自社において必要な知識や見識を身につけるための
   「仕事の基本」を教え込むことです。

   「仕事の基本」を身につけるのは、現実にはなかなか難しいものです。

   しかし、躾と同様に「できない」「身につかない」状態のまま放っておくと、誤った仕事
   のやり方を半永久的に続けることになり、仕事の生産性を高めることができません。

   これは本人だけの問題にとどまらず、会社にとっても大きな損失です。

   せっかく採用した新人の正しい研修や教育、フォローにより即戦力として活かすため
   にはどうしたらよいかを考えてみましょう。

   新人研修は、学生気分を払拭し、仕事への意欲づけを行い、企業人としての姿勢づくり
   をさせるためのものです。

   そのため、単なる知識を教え込むだけではなく、それを理解させ、実際の行動に移させる
   ものでなければなりません。


  □社会人としての基本的な常識やマナーを身につけさせる

   上記の問題は、業務に関する知識や経験の不足が一因と考えられます。

   知識や経験の不足は新入社員研修だけでなく、その後のOJTなどを通じて解決を
   図っていくことになるでしょう。

   一方、「社会人・組織人としての基本的な常識やマナーが身についていない」とすれば、
   新入社員研修で身につけさせなければなりません。

   業務に関する知識を習得する研修と違って、業務に直接関係しないビジネスマナー
   研修の機会を設けることは、新入社員研修時を除くと難しいものです。

   このときにしっかりと常識や組織人としてのマナーを身につけさせておかなければ、
   新入社員が業務で直面するさまざまなシーンで、自覚のないまま失態を演じ、本人
   のみならず企業自体の信用が損なわれかねません。

   企業は、新入社員に対してどのような成長を期待し、そのためには、どのように教育・
   キャリア形成を図っていくか、1年後、3年後、5年後・・・といった段階を見越して計画的
   に取り組むことが求められます。

   中小企業の多くが人材の育成をおざなりにしているのを多数見受けられます。

   今日の糧を得ることばかりに目が行き、自社(店)の将来に向けての展望がない。

   言い換えるなら、ビジョン戦略も何もない。

   あっても機能しておらず、単にお題目と化している。

   新人育成においても理念やビジョンは重要な要素となります。

   新人や若手社員は夢、希望、やりがいを求めています。

   トップ自らが彼らに語ることです。


   「企業は人なり」と言われるようにジンザイあっての企業であり組織です。

   明日を担う新しい戦力を育てなくては、どんなに素晴らしい社屋や商品、製品があっ
   ても意味をなさない。

   企業にとって人材育成はトレーニングと置き換えてもいいでしょう。

   育成の成否が企業の望む『人財』に育つか『人罪』になってしまうかは育成次第です。

   人材育成は会社が収益を上げるための営業ツールであり、組織として欠かせなノウハウ
   です。 

   新人育成をおざなりにすることは新人や若年層の早期離職を助長しかねません。

   育成をおざなりにすることが結果として、組織の形骸化、収益の悪化、信用の低下、
   挙句に新人・若手の離職者によるネットへの中傷発言により、ブラック企業のレッテル
   を貼られかねません。
   
  ■新人教育の基本

   あるアンケートの結果をまとめてみると、最近の新入社員に「欠けている部分」には、
   「粘り強さ」「社会的な規範や常識」「ルールの順守」「マナー、礼儀」などが挙げられ
   ていますが、これらはどの時代にあっても多かれ少なかれあるものです。

  □新人教育

     (1) 社会人としての規範、ルール、マナーを一から教え込み、受け身でない自主的
       な姿勢を育てること

    (2) そのためには入社時の導入研修から、まず組織人としての「意識の切り替え」
       を徹底させること

    (3) 彼らのプラス面である自己PR能力を良い方向に引き出せるよう、個性を尊重し
       た教育をすること
 
   しかし、無理に組織人としてのルールやマナー、常識を押しつけても、すぐに嫌気が
   さし、講義方式で説明しても、実感が湧いてこないためか、講義を子守唄代わりに
   寝るものもでてくるなど、その効果は疑問です。

   何よりも問題なのが、新人に多く見られる「現実という困難、プレッシャー」に非常に弱
   いところがあるため、無理強いして意識を変えさせようとしても何の効果もありません。

   新入社員は誰もが「不安」だからといえます。

   どの時代の新人も、新入社員は不安の塊という事実は、新人研修において最も見逃して
   ならないことで、指導する側が最も理解してやらねばならないことだと思われます。 

   ただでさえ「粘り強さがない」今の若者にとって、人生で初めて一人立ちした瞬間が
   入社時なわけです。

   そのような時に、「いきなり個性を無視した体育会的合宿研修」、「意味や意義に触れ
   ないマニュアルの押しつけ」、「OJTと称して何も教えずに仕事をさせるやり方」などを
   していては、新人研修に最も求められる「意識改革」ができないばかりか、現実に直面
   したとたんにやる気を失う結果になってしまいます。

   ここまでに挙げてきた、若者像や新人教育の傾向、問題点は指導者側が現実を不安
   視する若者をよく理解してやっていないことが、すべての根源に思えます。


   新入社員の導入研修において最も注力すべきことは、社会人、組織人としての「意識
   改革」です。

    ・全社的な教育理念の明確化と意思統一

    ・挨拶、名刺交換、電話応対など社会人、組織人としての基本動作(基本的マナー)

    ・売上高、取引先など会社の基本的な状況

    ・経費処理の流れ、就業規則など会社の基本的なルール

    
   中小企業にとって人材教育は、絶えず改善して続けることが大切である。

   常に次の時代の社員や幹部クラスを育てなくては、ぬるま湯的組織からの脱却、変化す
   る環境への対応ができない。

   業績は改善されず、社員からは不平、不満が必ず出てきます。

   そうならないためには、社長自らが先頭に立って学ぶことで、高いレベルの知識を
   身に着けておく必要性があるのです。  

   競合他社(店)に立ち向かうためには、トップの方針に会社の全員が本気で取り組み、
   話し合いを持ち、協力しなければ勝ち残っていけません。

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  ■ 新人の教育・研修のポイント

   新人研修は、学生気分を払拭し、仕事への意欲づけを行い、企業人としての姿勢づくり
   をさせるためのものです。

   そのため、単なる知識を教え込むだけではなく、それを理解させ、実際の行動に移さ
   せるものでなければなりません。

   新人研修を実施する際には、次のような点が重要です。

   (1)企業文化を認識させる

     自社固有の文化を浸透させ、企業風土形成の一役を担っていることを認識させます。

   (2)組織貢献の意識・価値観の形成

     組織への貢献によって初めて正当な報酬が符られるという価値観を形成させます。

   (3)人材を人財に 

     甘えの構造で育った「指示待ち」「他人依存」「責任転嫁」の姿勢を排除します。

     求められる「人財」像に向けて成長するきっかけづくりをつねに行います。

   (4)自分で考え、学ばせる

     教えるよりは自分で気づかせます。
     困難な状況に身を置くことにより、自分自身
     で学ばせます。

   (5)反復訓練

     教育は繰り返し行うことが重要です。

     反復訓練により習得させます。

  □業務への取り組み
   経験を積んできた人ならば、無意識のうちに
   反射的に業務を分解し、一見複雑そうにみえ 
   る業務でも、適切に順序立て、すぐに取り組む
   ことができますが、新入社員にはなかなか難し
   いものです。
 
   しかし、会社で行う業務はそれがどのように難し
   そうにみえる業務であっても、それを分解して
   具体的なアクションにまで落としていけば、単純な
   作業の組み合わせにすぎないことに気づきます。

   すべての業務は、何かを調べたり、まとめたり、誰かにものを聞いたり、交渉したり誰
   かに連絡したりと、いったいくつかのアクションによって成り立っています。
 
   よって、いかに複雑な業務でも、行動レベルに分解してしまえばあとはその分解された個
   々の行動を遂行してくだけでよいことになります。

   業務を分解するための6つのポイント

    (1)誰かに聞くことはないか

    (2)誰かに知らせることはないか

    (3)誰かに依頼することはないか

    (4)自分自身でやるべきことはないか

    (5)何か調査・検討すべきことはないか

    (6)誰かと交渉することはないか


   最近の新人社員の傾向は以前とは違うかもしれません。

   しかし、「いまどきの新人は」というレッテルを貼るよりも、新人が育つ環境を整備する
   ことです。

   それはあなたの会社の将来を担うことになるかもしれない若手社員の離職を防ぐことに
   つながり、成長につながっていくのです。

  □ビジネスの基本ルールを指導

   (1)企業とは

     企業は、商品やサービスを消費者に提供 
     する活動を通じて、営利を追求する組織です。

      しかし、消費者からすれば、ある「特定の企業」
     を必要としているのではありません。

     消費者は同じ便益さえ受けられれば、どの会社でもかまわないのです。

     会社を必要としているのは、その会社の構成員(経営者や従業員)にほかなりま
     せん。

     この点をふまえて、

      ・自社(店)を支えてくれているのは誰か

      ・自社(店)が存続するためにはどういったことが必要か

     についても考えさせることが大切です。

     とくに、「信用」の重要性について強調しておくことが必要です。

     企業の格差はお客様にどれだけ満足を与え、信用されているかによって決まるもの
     であり、従業員一人ひとりの行動が企業の「信用」につながっていることを認識させ
     ましょう。

   (2)仕事の基本とは何か

     仕事の基本として教えておくべきポイントとしては、

      ・仕事の始まりは「指示を受けること」であり、
       仕事の終わりは「報告する」ことである

      ・実際に指示された仕事を進めていく際には、業務を
       分解して取り組むということ

     があげられます。

      つまり、正しい指示の受け方、正しい報告の仕方、業務の分解の仕方を身につけさ
     せることが仕事の第一歩となるのです。

   (3)新人にきちんと守らせたい基本マナー(基本動作(12項目)

     「始業から終業」まで、1日のビジネスサイクルのなかで、これだけは新人として守ら
     なければならないという基本マナーを理解させます。

     たとえば、次のようなものがあります。

      ・家を出る……身だしなみチェック

      ・出社  ……遅刻しない。とくに無届欠勤は組織人として失格

      ・電話  ……ベルがなったらすぐ取る。
               受話器は左手、右手にメモと鉛筆が基本

      ・報告  ……結論から手短に、事実を報告

     「仕事の進め方」について新人に徹底させる事項には、次のようなものがあります。
      ・何でも分からないことは質問する(自分勝手に処理しない)

      ・メモをとる(記憶より記録)

      ・前例、慣習、マニュアルなどを参考に考える

   (4)ビジネスマナー  

     「ビジネスマナー」では、なぜマナーが大切かを指導することが大切です。

     @第一印象の重要性

       人が人をみてその人となりを判断する際には、いくつかのポイントがあります。
       ・ポイント1……外見(服装、身だしなみ)

       ・ポイント2……立居振舞(態度、ものごし)

       ・ポイント3……話し方(言葉づかい)

       ・ポイント4……話の内容(ビジネス会話)

      大切なのは、それぞれのポイントにおいて、相手によい印象を与えることです。

      各ポイントにおいて、自分自身の魅力を高めるには、日々の行動、すなわち、
      職場で学び、意識し、行動し、それを習慣化させることが大切であると認識させ
      ます。

     A言葉づかい

      言葉づかいについては「敬語の使い方」「人の呼び方」に留意して、日常が練習だ
      ととらえ、習慣づけ、体得させることが効果的です。

     B電話応対 

      電話応対は実習を中心に行うほうが効果的であり、理解も深まります。

      指導内容は次のとおりです。

       ・電話応対の重要性

       ・電話の受け方

       ・電話のかけ方

      職場において、最初に体験し、難しさを味わうのが電話応対です。

      実習を多く積み、少しでも不安を解消し、自信をつけさせることが大切です。

     C接客応対 

      電話応対と同様、実習中心が効果的です。指導内容は次のとおりです。

       ・接客応対における心構え

       ・受付から見送りまで

        受付の仕方/案内の仕方/応接室での言動/お茶の出し方

       ・その他応対
        お客様への伝言をするとき/お客様から用事を頼まれたとき

     D他社訪問

      実習を中心に体得していく方法が効果的です。

      指導内容は次のとおりです。

       ・アポイントメントの取り方

       ・訪問するときの注意点

       ・名刺交換の仕方

       ・紹介のマナー 

       ・新入社員の接遇マナー 

  □正しい指示の与え方

   仕事の始まりは「指示を受けること」です。

   いかに上手に指示を受けるかによって、仕事
   の仕方が変わってきます。「上手な指示の受け
   方」を学ばせるためには、「まず、上手に指示
   を与えること」が大切です。

   つまり、正しく指示を与えれば、新人も正しく
   仕事を受けることができ、徐々にそれを身に
   つけていくことができるのです。

   ここでは、上司の立場に立った正しい指示の
   与え方について説明します。

   (1)メモをとらせる

     上司から呼び出されたときは、必ずメモを
     持参する習慣をつけさせます。

     でなければ少し複雑な指示を上司が出したときに、正しく記憶し、遂行されない可能
     性が出てきます。

     人間の記憶力には限界があり、覚えたつもりでもどこかが抜け落ちていたりするも
     のです。

     そこで、まずは指示を受ける際には必ずメモをとらせるようにします。

     このとき大切なことは、『無意識のうちにメモをとる習慣をつけさせる』ことです。

   (2)上司の期待水準を明確に認識させる

     メモを取る習慣が身につけば今度は、メモを正しくとることが必要になってきます。

     上司が自分に出している指示は、最終的にどのような地点に到達すれば遂行された
     と考えられるか、どのような結果を出すことを目的としているのか明らかにすること
     が必要です。

     このためには以下の点を明らかにする必要があります。

      @期限あるいは最終納期を確認する
       指示された内容はいつまでになされる必要があるのか。

      A望ましい完成時期を明らかにする
       期限とは別に、上司が資料を事前に確認する時間が必要ではないのか。

      Bその仕事を完成させたときの「形」を確認する
       ワープロで清書する必要があるのか、あるいは手書きでよいのか。
       部数や用紙サイズはどうなのかなど。

      C業務の目的を明らかにする
       この業務の目的は何なのか。

     D助けになる人物、資料が存在するかどうかを確認する
      協力を依頼できる他の人や、参考にできる資料が存在するのか。

    これらを明らかにすることによって、上司が期待している通りの成果物を上げてくる
    ことができるようにトレーニングをしていきます。

   (3)わからない点は明確にさせる

     指示を与える際には、当然わかっているはずだと思ったことでも、新入社員には理解
     できなかったり、知らなかったりすることが多いものです。

     そこで、『わからない点があれば質問させる』ことを徹底し、自分のすべきことが
     明確になるように、詳しく丁寧に伝えるように努めなくてはなりません。

     そして、このような段取りで仕事をすれば、約束の成果物を仕上げることができると
     いう仕事の成功イメージをもたせることが重要です。

   (4)復唱させる

     指示を終えたら、その内容がきちんと理解されたかどうかを確認するために、与え
     られた指示の要点を徒唱させるようにします。

     間違っている点があれば訂正し、十分に理解できていないようなら再度詳しく説明し
     直しましょう。

  □正しい指示の受け方・報告の仕方

   指示の受け方や報告の仕方は、仕事を進めていくうえでの基本です。

   流れとして次のことを理解させます。

    ・仕事の主旨を理解……指示を受けた仕事の目的を理解し、成果・結果を検討する

    ・計画         ……仕事の全体を把握し、手順を考える

    ・実施、遂行     ……仕事を遂行するなかでの疑問点は速やかに相談する

    ・中間報告      ……長期にわたる仕事では、現状や今後の見通しを随時
                    報告する

    ・終了報告      ……指示を受けた上司に「結論から」報告する

    ・反省         ……計画・手順・結果について反省し、今後に役立てる

   仕事は決められた手順で処理し、上司の指示に従い、正確に期日までに終わらせる
   ことが求められます。

   そして、指示を受けるときや報告をするときの誤解・勘違い、勝手な判断は大きなミス
   を招くということを、理解させなければなりません。

    ○正しい報告(報連相)の仕方

     いかなる業務も「報告」によって完了します。

     報告はひとつの業務の終わりの行動であ
     り、「終わり」をきちんと行わなければ、い
     くら一生懸命に遂行した業務でも無駄に
     なりかねません。

     ここでは、正しい報告の仕方を教える際
     のポイントについて説明します。

     (1)タイムリーに報告するようにさせる

       大切なのは、『ひとつの業務が終わり
       次第すぐに報告させる』ようにすること
       です。

       これは、与えられた期限前に仕事ができた場合でも同じです。

       修正する必要があったり、次の仕事が待っている場合があるため、報告は業務
       が終わり次第速やかにするべきものであるということを理解させる必要があり
       ます。

     (2)「ムリ」と思った時点で、助けを求めさせる

       仕事はいつも順調に進むとは限りません。

       とくに仕事に慣れない新人の場合には思わぬ失敗やミスがつきものです。

       期限間近になってはじめて「自分ではどう対処することもできない」と報告さ
       れたのでは、上司としても対処することが大変難しくなります。

       このようなときに、「次から注意するように」というのはもちろんですが、日頃
       から『「危ない」と思ったらすぐに報告をし、指示をあおぐことを徹底させる』
       ことが大切です。

       これは習慣がつくまで繰り返し指導します。

       早めに報告させることによって、その後の対処もでき、解決策を見いだすための
       アドバイスも行えるからです。

       こうした危険信号を出す習作を徹底させるためには、上司のほうでも、こまめに
       与えた仕事の進捗状況を尋ねることが有効です。

       「いつ仕上がりそうか」「現在、どういった状態か」という点についてこまめに
       尋ねることによって、仕事を受けた側も現状を報告する機会が多くなるため、
       状況把握をきちんとするようになります。

     (3)要求するレベルでの報告をさせる

       新人に限らず、

        ・正式文書でもないのに、文章の一字一句にこだわっている

        ・簡単なメモ書きで十分なのに、丁寧にワープロ打ちをしている

        ・大まかな動向を伝えるだけで十分だったのに、時間をかけて
         面倒なグラフなどを作成している

       といったことがよくあります。

       このように不必要な業務まで行ったり、丁寧にし過ぎることは時間の浪費です。

       こうした時間をもっと重要なほかの仕事に回すようにさせましょう。

       そのためには、

        『業務を与える際に、期待する成果やレベルを明確に知らせ、
        そのレベルに合わせた報告をさせる』

       ことを徹底する必要があります。

     (4)「結論」から先に報告させる

       報告の仕方についても、慣れないうちは業務の流れをはじめからすべて説
       明して、最後の最後に結論に至るということが多いようです。

       これでは、聞く側も結論がよくつかめず、時間の無駄となっていらいらさせ
       られることになります。

       そこで、大切なのは

        『結論 → 理由 → 経過、といった流れで報告させる』

       ように徹底することです。

       これは簡単なようで実際には大変難しいことです。

       習慣がつくまで繰り返し指導することが必要です。

       また、基本中の基本ともいえることですが、

        ・最後まではっきり伝える

        ・分かりやすい言葉で話す

        ・事実を話す

       ということも徹底させましょう。

     「人財」を育てることは小さな組織にとって急務です。

     人材は時間が経てば自然に育つと思いがちですが、決してそうではありません。

     ロープレなどによる訓練の繰り返しで身につくものなのです。

  □業務は分解してから取り組ませる

   これまでは、仕事の基本のうち、「始まり」と「終わり」について述べてきましたが、 
   ここでは「終わり」に到達するための方法について説明します。

   経験を積んできた人ならば、無意識のうちに反射的に業務を分解し、一見複雑そ
   うにみえる業務でも、適切に順序立て、すぐに取り組むことができますが、新入社
   員にはなかなか難しいものです。

   しかし、会社で行う業務はそれがどのように難しそうにみえる業務であろうとも、ま
   たいかに複雑な業務であろうとも、それを分解して具体的なアクションにまで落と
   していけば、単純な作業の組み合わせにすぎないことに気づきます。

   すべての業務は、何かを調べたり、まとめたり、誰かにものを聞いたり、交渉した
   り誰かに連絡したり…といったいくつかのアクションによって成り立っています。

   したがって、いかに複雑な業務でも、行動レベルに分解してしまえばあとはその分
   解された個々の行動を遂行してくだけでよいことになります。

   ここで、業務を分解するということは、言い方を変えればその業務の遂行方法を
   設計することになります。

   以下に、業務を分解するための6つの視点をあげてみました。

    (1)誰かに聞くことはないか(Hear)

    (2)誰かに知らせることはないか(Inform)

    (3)誰かに依頼することはないか(Request)

    (4)自分自身でやるべきことはないか(Operate)

    (5)何か調査・検討すべきことはないか(Examine)

    (6)誰かと交渉することはないか(Negotiate)

   この6つの視点は、それぞれの頭文字をとって『HIROEN(披露宴)』と覚えること
   ができるようになっています。

   このような覚え方で、業務を分解し、整理して取り組み方や取り組む順序を設計
   し、明確にする習慣をつけることができれば、複雑そうにみえて困難と思われた
   業務であっても、容易にこなせるようになっていくことでしょう。

   
  ■新卒者採用面接評価

   新卒者採用面接評価の目的は、中小企業の場合、限られた人員で業務をこなしている
   ことが多いため、日々の業務に追われ、新卒者をじっくり一人前に育て上げるだけの
   余裕がない会社が多く見られます。

   そのため、定期的に新卒者を採用しているという中小企業はそう多くないでしょう。

   ですが、新卒者にとって厳しい就職環境が続くだけでなく、人材の流動化も進みつつ
   ある昨今、「安定した大企業に入れば安泰」という「大手志向」が薄らいでいるのも事実
   です。

   また、就職協定が廃止されたために採用活動が早期化してきているため、企業は短い
   期間で面接を行い、自社に必要な人材かどうかを見極めなければならなくなってい
   ます。

   さらに、企業が求める人材像も変わってきており、以前は成績優秀な優等生的な人材を
   求める企業が多かったようですが、それが発想力や独創性、コミュニケーション能力
   論理的な思考力といった内面的な要素を重要視するようになっているのです。

   そのため、面接の重要性はますます高まっており、短い時間でいかに相手の内面的な
   要素を見抜けるかが問われるようになっていると言えます。

   短い時間の中で、場合によっては何人もの学生の能力を判断しなければならない
   わけですから、面接者が共通して使用する面接用のツールが必要になります。

   優秀な人材確保のためにも、勘や経験といったことに頼らない面接評価が重要となります。

  □新卒者採用面接評価の作成と使い方

   1.氏名、学校等

     氏名、学校等の面接が始まる前に確認しておくべき情報(第一印象の欄より上に
     配置してあるもの)は、事前に記入しておきます。

     相手の内面的な部分を見るためには、「志望動機を言ってください」などという決
     まり切った質問をするよりも、学校の話や資格の話、例えば「これはどういった資
     格なの?」「なぜこの学校を選んだの?」といった質問をとっかかりに面接を進め
     た方がよい場合もあるので、必ず事前に記入して目を通しておきます。

   2.第一印象

     第一印象については、どんな表現でもかまわないので感じたままを書きます。

     ポイントは相手の悪いところを書くのではなく、いいところを探して書くことです。

     最初に悪いところに目がいってしまうと、そこばかりが気になってしまって、相手の
     優れた点を見落としてしまう可能性があるからです。

   3.志望動機・希望職種

     中途採用者と違い、職業経験がありませんから、本当に説得力のある志望動機を
     言える人は少ないかもしれません。

     ですが、「何を甘いことを言っているんだ」と批判的に見てしまわないことです。

     どれだけの熱意をもっているか、本当に自社で仕事をしたいと思っているかどうか
     を見ることです。

   4.他の応募企業

     他社ではどんなところを受験しているのか、面接はどこまで進んでいるのかを確認
     してください。

     他社での評価も参考要素になります。

     ただ注意しなくてはならないのは、他社の評価はあくまでも他社のものであり、自社
     にふさわしい人材かどうかはそれでは判断できないということです。

     また本人がウソの申告をしていることも考えられるので、あくまでも評価のための
     一要素として考え、自分の目で相手を見極めてください。

   5.意欲・積極性、その他

     会話を進めながら、1〜5の5段階で評価します。

     ここで注意することは、なるべく3(どちらともいえない)の評価をしないようにす
     ることです。

     そう意識することで、より深く相手を観察しようとするはずです。

   6.総合判定、合否の理由

     「是非採用したい」から「不採用」のいずれかに丸をつけます。

     そして、なぜ採用したいと思ったのか、またはなぜ不採用と判断したのか、具体的
     な理由を記入します。

     そうすることで面接者は相手をしっかり見極めようとするはずですし、面接者が複
     数の場合には、それぞれの評価を照らし合わせることで、より万全な評価ができ
     るでしょう。   

 

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新人・若手社員の離職を防止

 

   新卒者が入社後に短期間で離職してしまうと、採用活動や研修などに費やした時間や
   コストが無駄になるため、会社にとっては大きな損失となります。

   厚生労働省「新規学校卒業者の就職離職状況調査」によると、入社後3年目までに
   離職した人の割合は、中学64.2%、高校35.7%、短大等39.3%、大学28.8%と
   なっています。

   近年では不況などから減少しているが、過去には中学卒の70%程度、高校や短大等
   卒の50%程度、大学卒の30%程度が入社3年目までに離職していることから、新卒
   者の「七五三問題」と呼ばれており、企業の課題となっています。

   若手社員の離職理由として一般的に、給与や休日の条件など待遇に対する不満、
   本人の希望する業務と任された業務とのミスマッチ、職場の人間関係に対する悩み
   などが挙げられます。

   企業側は早期離職する若手社員に対して、「近ごろの若手社員は、昔とは違う…」
   と戸惑うことがあるかもしれません。

   しかし、若手社員側だけに原因を求めるのではなく、若手社員の定着や成長を阻む
   問題が社内にないか見直してみましょう。

   早期離職の要因の一つが教育不足です。

   中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行している。

   その原因に教育担当者の人材不足と能力不足が挙げられます。

   
   日ごろから若手社員の声に耳を傾けるなど、積極的に社内にコミュニケーション
   図ることが重要になります。

  ■若年者の離職理由

   若手社員と会社との間、あるいは年齢によって若干の差は
   ありますが、離職理由は主とし退職願い1.jpgて以下のように類別されます。

    ・給与などの労働条件に対する不満
    ・過重な労働量、や職責による疲労
    ・入社前に思い描いていた仕事と実際の仕事とのギャップ
    ・将来のキャリアへの不安
    ・職場でのコミュニケーショントラブル

  ■企業と新人・若手社員の考える離職理由のギャップ

   例えば、離職理由として「仕事のストレスが大きい」を挙げた
   割合は、企業の12.6%に対して社員は48.2%に上ります。

   そのほか、「労働時間や休日・休暇に不満」「会社の経営者
   や経営理念社風に合わないとして」といった離職理由を挙
   げた社員の割合が、企業の割合を上回っています。

   このように、企業と求職者の離職理由のギャップが大きい
   ことから、離職者は会社に本当の離職理由を伝えていない
   ことがあると考えられます。

   また、求職者の離職理由に「セクハラ、パワハラがあった」が
   8.7%、「女性を活用しない職場だから」が6.7%となっている
   一方で、企業はこれらの項目を離職理由としてほとんど挙げていません。

   企業はこうした項目にも十分な注意を払う必要があります。

                       数字の出典:(独)労働政策研究・研修機構

 

  ■新卒者・若手の早期離職防止策

  □新卒者の入社後の仕事のミスマッチを防止

   入社前のイメージと入社後の仕事のミスマッチを防止するための対策は、新卒者の
   入社前から始める必要があります。

   具体的な施策として、

    ・仕事の内容や入社後数年の育成計画を明確に伝える

    ・先辛苦手社員と接する場を設けて入社後数年の実際の仕事の内容を
     理解してもらう

   などが挙げられます。

   会社からの一方通行ではなく、新卒者・若手の疑問や不安にも応じる形で、選考段階
   から綿密な情報提供を心がけることが、ミスマッチを防ぐための最善の方法といえる
   でしょう。

  □業務内容や業務量の適正化

   業務内容が本人の能力をはるかに超えるものであったり、業務量が多すぎたりすると、
   残業が発生するだけではなく、業務目標の達成に対する精神的ストレスも大きくなり
   ます。

   企業が新卒者に対して行うべき施策は、業務内容や業務上の単なる軽減ではなく
   適正化です。

   単に業務量を減らすだけでは、企業の生産性が低下するばかりか、新卒者のスキル
   アップも達成しません。

   企業は新卒者がどのような点に大きなストレスを感じているかという率直な意見に
   耳を傾け、新卒者にとって無理がなくかつ企業の生産性を保つことができるように、
   企業が新卒者に求める水準を見定めることが必要があります。

  □配属についてのフォローアップ

   企業には人材開発の計画があり、各部署の受け入れ人数も限られているため、新卒
   者の配属希望をすべてかなえることはできません。

   その場合に、希望する部署に配属されなかった新卒者に対しては、モチベーション
   下がらないように、適切なタイミングで上司や先輩がフォローアップをする必要があり
   ます。

   また、新入社員研修などにおいて、上司や先輩からのさまざまな部署のやりがいに
   ついて話す機会を設け、新卒者の視野を広げ、本来の希望配属先以外にも関心を
   持ってもらうことは有効な試みといえます。
   
  キャリアアップ支援

   入社後しばらくして社内の雰囲気や自社を取り巻く環境がみえてきた新卒者は、「この
   会社にとどまっていて将来の自分は大丈夫だろうか」と考えます。

   キャリアアップを理由とした離職者の割合は、年齢が高くなるほど多くなる傾向にあり
   ます。

   新卒者がキャリアについての不安を持たないようにするためには、新卒者がスキルを
   身につけることができるキャリアアップ支援制度を準備することが、離職防止の一つの
   施策になります。

  □社内コミュニケーション(基本動作12項目)の充実

   社内での人間関係は離職理由の上位に挙げられているだけではなく、離職を思い
   とどまった理由の上位にも挙げられている、とても重要な要素です。

   企業における人間関係は単に仲の良し悪しではなく、仕事上必要なコミュニケーション
   をいかにして円滑に行うかという点に配慮する
   ことが大切です。

   そのため、社内でのコミュニケーションは、

    ・上司や先輩とのコミュニケーション

    ・同期などとのコミュニケーション

   の2つの視点に分けて考える必要があります。

   上司や先輩は、新卒者が抱えている悩みや不満
   を真摯に聞く態度を持つことが大切です。

   また、新卒者と上司や先輩とのコミュニケーション
   は業務上の問題を解決するだけでは不十分です。

   新卒者が仕事を続けていく上で持つであろう悩み
   には、情緒的・心理的な側面もあるでしょう。

   そのための一つの施策として注目されているのが「メンター制度」です。

   「メンター」とは、ギリシャ神話の老賢人「メントール」を語源としており、「良き指導
   者」「良き理解者」などを意味します。

   単に仕事上のアドバイスをする教育係ではなく、人生の相談相手となるような人格面・
   心理面でのサポートを行う人です。

   新人・若手社員が上司には言いにくいことでも、メンターには相談しやすいようにする
   ため、メンター役は若手社員とあまり年次が離れていない先輩社員が適役です。

   新年度には、新入社員が入社し、社内の異動もあります。

   新年度を迎えてから慌ただしく準備をするのではなく、いまの時期から若手社員とのコミ
   ュニケーションを充実させるための心構えと準備をしておきましょう。

   ちなみに、メンタリングとコーチングの違いは、
   メンタリングとは、特定の領域において知識や経験、スキルなどが豊富で成功体験を
   持った人(メンター)が役割モデルを示しながら指導・助言などを行う支援活動全体を
   言います。

   コーチングは、コーチが相手に効果的な質問を行うことにより、その人の能力を引き
   出し自発的行動を促すコミュニケーションスキルです。

   コーチングはコーチが知識や経験を持たない分野でも支援活動を行うことがあるのに
   対し、メンタリングではメンターが特定領域の知識や経験を持っていることが要求され
   る点です。



  □新卒者離職防止活動を行う団体

   (独)労働政策研究・研修機構 

   NPO法人日本メンター協会 

   公益財団法人日本生産性本部
   メンタル・ヘルス研究所 

   (株)日本能率協会
   マネジメントセンター 

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