就業規則を見直していますか? 


  ■就業規則の重要性

   会社を取り巻く経営環境や雇用環境がめまぐるしく変化する昨今、労働条件や就業ルール
   をまとめた就業規則も変化に合わせて定期的に見直す必要があります。

   しかし、長い間、就業規則の見直しを行っていない会社も少なくないのではないで
   しょうか。

   近年、法律の知識や権利意識を強くもつ労働者が増えており、全国の労働基準監督署に
   寄せられる相談件数も年間110万件を越えています。

   その多くは、就業規則を作成していなかったり、就業規則どおりに運用されていなかった
   り、就業規則の見直しをまったく行っていないことで起こります。

   自社の実態に合わせて就業規則を整備し、労働条件や就業ルールを明確にすれば、会
   社にとっても従業員にとってもリスクや不安を軽減することができます。

   従業員との労務トラブルを未然に防ぐためにも、定期的に就業規則を見直しましょう。

   1.就業規則は会社のルールブック

    就業規則とは、貸金や労働時間、休日、休暇、服務規律や懲戒などについて、従業員
    の入社から退職までの労働条件や就業上のルールを定めた会社の憲法です。

    就業規則がしっかりと整備され、その内容が正しく従業員に伝わっていれば、労使間の

    トラブルや従業員の不祥事も起きづらくなります。

    また、従業員が訴えを起こしたとしても、責任の所在が明確となるため、会社側の責任を
    限定的にすることができます。

    それだけでなく、経営理念セクハラ対策・メンタルヘルス対策などへの取り組みを示す

    ことで、会社に対する信頼度も増し、モチベーションのアップにもつながります。

    一人ひとり違うライフスタイルや価値観をもった従業員が、会社という組織で共に働く

    わけですから、一定の秩序や明確なルールづくりは必要不可欠です。

    就業規則は、会社にとっても従業員にとっても、なくてはならない社内のルールブック
    です。

   2.法律による約束事

    就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場のみ作成・届出が義務づけられ
    ています。

    しかし、常時10人未満の事業場であっても、労使間のトラブルを防止するためには

    作成しておくのが望ましいでしょう。

    なぜなら、従業員が問題を起こした場合、あらかじめ処分内容を定義しておかなければ
    懲戒処分を下すことができないからです。
 
    なお、就業規則には、必ず定めなくてはならない取り決め(絶対的必要記載事項)と、
    会社のルールとして存在している場合に記載しなくてはならない事項(相対的必要記載事項
    とがあり、それぞれ法律に違反しないよう定める必要があります。

    会社と労働者との関係は、労働契約という契約関係で成り立っています。

    労働者である従業員は労働を提供し、使用者(会社)はこれに対して賃金を支払う
    関係です。 

    労働契約の内容(1日何時間働くか、休憩・休日は、
    など)をそれぞれの労働者と個別に契約することは、
    事務作業が膨大となり困難であることから、労働者
    が就業上遵守すべき規則、労働条件に関する具体
    細目 を定めることとしているのが通常です。

    これが就業規則であり、法律上は、常時10人以上の
    労働者を使用する会社には、就業規則の作成と届出が
    義務づけられています。

    ただ、義務だから就業規則を作成するといった考えは
    今は通用しません。

    さまざまな角度から戦略的に就業規則の作成や改定を行う必要があります。

    社会環境が激変した今、今までの内容そままだったらどうなるかは経営者、担当責任者で
    あるあなたが一番よくわかっているはずです。

    そして、「このままではまずい」と思っているはずです。

    就業規則を作成および変更する場合には、従業員の過半数を代表する者または従業員の
    過半数で組織する労働組合(以下、従業員代表)の意見書を添付したうえで、所轄の
    労働基準監督署に届出なくてはなりません。

   3.従業員への周知

    就業規則を作成および変更したら、それを従業員に周知する必要があります。

    従業員に周知していない就業規則には効力がありません。

    従業員がいつでも自由に就業規則を見ることができるよう、次の方法で周知します。

     ・常時、各事業囁の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける

     ・書面を交付する

     ・磁気テープ、磁気ディスクなどに記録し、その内容を各事業場の従業員が
      常時確認できる機器を設置する

    各事業場には最低限、就業規則を一部常備しておくか、パソコンのある環境に就業規則が
    収録された記録媒体(CD−ROMなど)を用意するようにしましょう。

   4.非正規社員用の就業規則

    パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員など、正社員以外にも従業員 がいる
    場合、非正規社員用の就業規則も必ず準備しましょう。

    正社員と非正規社員では労働条件や待遇なども異なりますが、非正規社員用の就業
    規則がない場合には、非正規社員にも正社員用の就業規則が適用されてしまいます。

  □次はあなたの会社!?

   インターネットを含めた情報媒体の多様化により、従業員個々の権利意識の高まり、情報
   収集による理論武装により、会社に権利を主張してくるのです。

   さらに、近年マスコミは、不祥事を起こした企業を取り上げ、その企業を丸裸状態にし、
   過去にさかのぼって徹底的に追求するといったありさまです。

   各監督官庁も厳格に法を適用せざるを得ない状況になってきています。

   しかし、これだけ多くの事件事故がマスコミをにぎわしているにもかかわらず、多くの経営
   者がこれらのことを「対岸の火事」と見過ごしているといった危険な状況にあります。

   しかし、中小企業経営者が「これら事件・事故は大企業の話で、うちみたいな中小企業に
   は関係ないよ」と、真剣に思っているのです。

   今までの制度をこれからも使用し続けることは、企業防衛上リスクの拡大につながるだけ
   です。

   最悪の事態に見舞われかねません。

   次の7つの質問に答えてみてください。

    ・ 各種規則・規定は本当に会社防衛も含めた内容になっていますか?

    ・ 各種規則・規定(賃金・退職金)が昔のままになっていませんか?

    ・ 管理マニュアル(苦情対応・危機・個人情報)は整備されていますか?

    ・ 各種規則・規定と会社を守るべき企業保険が連動していますか?

    ・ 規則・規定の作成が目的となり、作成物が机の引き出しに入ったまま
     ではないですか?

    ・ 作成物がきちんと機能していますか?

    ・ 作成物を機能させるため、外部専門家から定期の情報提供・アドバイスは
     ありますか?

   これらの質問は事業を運営していく上で欠かすことのできない事柄です。

   企業の抱えるリスクはますます複雑多様化し、管理しなくてはならないリスク対策も増す
   ばかりです。

   『転ばぬ先の杖』として、就業規則の作成・変更を早急に実施することは経営者である
   あなたのやるべき最優先課題です。

   就業規則を作る場合に必要な手続きは、

    (1)従業員の代表から意見を聞き、意見書を提出してもらい、この意見書を添 
      付して、会社が作成した就業規則を労働基準監督署に届け出るのです。   
       (代表社員の署名または記名と押印が必要)

      この意見書が「反対意見」や「批判的な意見」があっても労働基準監督署は「法的
      に」受け取る義務があるので、受け付けます。

      いずれにせよ意見書などがないと受付をしてくれません。

    (2)就業規則の周知については作っても、「保管場所が社長の机の中」では意
      味がありません。

      作成した就業規則は事務所に備え付け、閲覧可能な状態にします。社員に知ら
      せないとその効果が無いのです。

      したがって、就業規則が有効となるのは「労働基準監督署の受付印が押印され
      た時から」ではなく、「就業規則を社員に周知させた時から」となります。

      労働基準法では

       ○事業所に紙媒体で備え付け、誰でも閲覧できる状況にする

       ○社内のイントラネット等で誰でも閲覧できる環境にする
        (PDFなどをサーバーに保存も可)

      などが「法的に」求められています。

   中小企業では、単に義務だからといった考えで就業規則を作る経営者も多数見受けられ
   ますが、企業防衛も含めた戦略的就業規則の策定・変更が急務です。

   そして、就業規則が従業員の体系ごと(正社員、パートタイマー別)に条件が整理されてい
   ることです。


  □就業規則(社内の規定と労務問題)

   1.社員が10人以上の場合に作成

    10人という人数の基準は正社員、パートの合計(正社員4名+パート6名の場合、
    作成義務あり)。
        ※パートの場合、一定の労働時間を満たした人

    しかし、常時10人未満の事業場であっても、労使間のトラブルを防止するためには作成
    しておくのが望ましいでしょう。

    なぜなら、従業員が問題を起こした場合、あらかじめ処分内容を定義しておかなければ
    懲戒処分を下すことができないからです。

   2.員数は事業所(支店、支社、工場)単位でみる

    事業所ごとに所轄の労働基準監督署に就業規則を届け出る。

   3.変更した就業規則の効力について

    常時働く従業員が10人以上の場合、作成が義務となり、これを労働基準監督署に
    提出しなければなりません。 

  □就業規則見直し

   1.就業規則見直しの時期

    就業規則のメンテナンスは、定期的に行うの
    が理想的ですが、特に見直しが必要となるの
    が、労働関連法令の改正や新設時、新たな
    人事制度や健康管理体制の導入時、経営状
    況の変化に伴い労働条件を変更せざるをえ
    ないときなどです。

    その際に注意しなくてはならないのが、労働
    条件の不利益変更です。

    就業規則に書かれている労働条件は従業員
    に対する約束事なので、従業員にとって労働
    条件が悪くなる場合(貸金引き下げ、退職金
    制度の廃止など)には不利益変更となり、一方的に
    変更することができません。

    ただし、従業員の同意がある場合、合理的な理由がある場合には変更が可能です。

    合理的な理由かどうかは、

     (1)労働者の受ける不利益の程度

     (2)労働条件変更の必要性

     (3)変更後の内容自体の相当性

     (4)労働組合などとの交渉の状況

     (5)その他の事情を総合的に考慮したうえで判断されます。

    合理性が認められるか否かはケース・バイ・ケースなので、会社としては、いかにして
    従業員の同意を得るかに注力しましょう。

    特に貸金・退職金に関する不利益変更は、従業員の理解を得るのが難しいため、
    不利益を緩和する代替措置などを準備したうえで、会社の事情を真撃に説明し納得
    してもらうことが、後でトラブルを生じさせないポイントとなります。

   2.労働関連法令の改正・新設に注意

    近年、増加する労務トラブルや経済構造の変化、雇用の多様化や新しい働き方の登場
    などを受け、労働関連法令の改正や新設が頻繁に行われています。

    会社が守らなくてはならない労働関連法令は労働基準法を始め多岐にわたりますが、
    会社は労働関連法令の動きをしっかり押さえ、法令に違反することのないよう、就業
    規則を定期的に見直す必要があります。

   3.就業規則見直し手順

    (1)就業規則の見直し案を作成

    (2)従業員代表の意見を聴取(意見書への記入、記名押印)

    (3)就業規則変更届、変更した就業規則、意見暮を添付し、所轄の労働基準監督署
      に提出

    (4)従業員に周知

      就業規則の見直し案をみてもらい、それに対する意見を聴く従業員代表の選任は、

       ・労働基準法第41条2号に規定する管理監督者でないこと

       ・投票、挙手などの方法によって選出された者であること

      なお、従業員代表の意見を尊重する姿勢は大事ですが、その意見を取り入れるか
      どうかは会社の自由です。(同意を得たり協議を行ったりすることまでは求められて
      いません)

      貸金規定や退職金規定など、就業規則の一部を別規定にしている会社も多くみら
      れますが(その場合、就業規則において「貸金については、別に作成する貸金規定
      によって支給する」などと記載している)、就業規則に付随する規定を変更する場合
      にも、就業規則の変更と同じ手続きが必要になります。

      また、複数の事業場で共通の就業規則を使用している場合、次の要件を満たして
      いれば、本社で一括して就業規則の変更手続きを行うことができます。その場合で
      あっても、従業員代表の意見は事業場ごとに聴かなくてはなりません。

       ・事業場の数と同じ部数の就業規則を提出すること

       ・各事業場の就業規則の内容(変更前・変更後)が同一であり、その旨明記されて
       いること

       ・各事業場の従業員代表の意見書が添付されていること

       ・各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署の一覧を提出すること

   就業規則の見直しに当たっては、社会保険労務士などの専門家にも目を通してもらい、
   問題がないことを確認するのも重要です。

   就業規則のほかにも、企業と従業員の間には労働協約などのルールがあり、企業と
   従業員はこれらを誠実に順守しなければなりません。

    1.労働契約:企業と個々の従業員が交わす個別の契約

    2.就業規則:常時10人以上の従業員を雇用する企業が定める規則

    3.労働協約:企業(経営側)と労働組合が交わす契約
 
   それぞれの効力は、基本的に、

    労働契約 < 就業規則 < 労働協約 < 法令

   といった順に強くなります。

   法令の規定が最も優先されます。

   ただし、こうした効力の関係は、従業員が不利益をこうむらないよう、労働条件の最低基準
   を労基法などの法令で担保するためのものです。

   就業規則の見直しに当たっては、社会保険労務士などの専門家にも目を通してもらい、
   問題がないことを確認するのも重要です。

   □就業規則を作成、変更する場合

    (1)従業員代表や労働組合の意見を聴き、意見書を提出してもらう

    (2)労働基準監督署長への届出(就業規則(変更)届) 、改定箇所

    (3)従業員への周知(閲覧可能な状態にする)

   の3つの手続きが必要です。

   就業規則の効力は従業員に十分に伝えた日以降で、施行日として記載された日に有効
   となります。

   変更した旨を従業員に伝えるまでは効力は発生しません。

   よって、労働基準監督署に未提出(提出前)でも、従業員に周知していれば、有効であ
   るということです。

   法律で決められている就業規則の掲示方法は、(4)〜(6)のいずれかです。

    (4)常時、作業場の見やすい場所へ掲示し、または、備え付ける

    (5)書面を従業員に交付する

    (6)社内サーバー等に保存し、かつ、従業員がいつでも確認できる

   □就業規則の備え付け場所

    全ての建物(支店、作業場)に備え付けます。

    就業規則はあなたの会社を守り、従業員を守るものです。

    労働基準監督署の調査も、従業員とのトラブルの解決も就業規則が判断基準となり
    ます。

    就業規則が会社にとって不利な状況にならないようにしましょう。

    最近多発する労働問題の中でも、 以下の点に注意しましょう。

    セクハラ>  <解雇 残業

 

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